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□序章
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ユウトはガイナタウンに住む12歳。しかし、容姿からは12歳らしさは全く感じられず、むしろ10代後半〜20代前半に見える。生まれ持った老け面と長身が理由であるが、ユウトは既に諦めていた。
そんなユウトだったが、今日は真っ直ぐトレーナーカレッジガイナタウン校に向かっていた。
扉を開くと、目の前に受付がある。受付には、なぜか泥まみれで長靴を履いた農夫のような風貌の青年がつっ立っていた。
「あれっ、こんなとこで何やってんすか?」
ユウトは驚いて青年に声をかける。青年は溜め息をついた。
「……お前を探してたんだよ。」
「俺?いや、ずっとこのへんをウロウロしてましたけど。」
「お前のウロウロにはついて行けないんだよ!」
青年は呆れかえっているようだ。気を取り直し、ユウトは改めて青年に尋ねた。
「で、俺に何の用で…。」
すると青年は背負っていた袋から、これでもかというくらい巨大なオレンの実を取り出した。それを無言でユウトに手渡す。
「あっ、くれるんですか?さすがラルドさん太っ腹。」
「なぜそうなる!まぁ、あげるけど……」
青年はラルドというらしい。今度は腰に下げたポーチから手帳を取り出した。
「お前、これからどうするんだ?リーグも制覇してるし、闘うべきゴウカもいないし。」
そう言われてユウトはうつ向いた。辛いのは、悔しいのはユウト本人だ。
「できるものならゴウカを探したい。でも、あれだけ探したんだから、リトウにはもういないと思うんです。全国、回るとしても、ポケモン達の体力が持つかどうか…」
すると、ラルドはユウトに破った手帳の一ページを渡した。手書きで地図が書かれている。
「ここにいってみな。リーグ管理局だ。トウゲンシティだから、ちょっと遠いが…。」
ユウトはそれを受け取ると、校舎を飛び出して行った。慌てるラルド。
「ちょ、待てっ!15歳以下は保護者のサインがいるんだぞ!お前、親父さんと喧嘩してるんじゃないのか!?」
ラルドの叫びに一瞬足を止めるユウトだったが、気にもとめずにボールを取り出した。
「いいのか〜?」
「何とかしますよ。頼む、うらら。」
ユウトはボールから輝くポケモンを出した。それはオレンジ色のチルタリスだった。
ユウトはチルタリスに飛び乗ると、山を越えた先のボルテスシティの更に向こうにあるトウゲンシティを目指した。
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