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□第一章
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ユウトはとにかく必死でレックウザにしがみついていた。少しでも油断すれば振り落とされかねない。

『此の期に及んで怖じ気付いたなど言うなよ。』

レックウザは、一度口を開けばぶっきらぼうな口調でユウトの心の痛い所を突いていく。しかしユウトもバカではない。

「怖いよ。レクが。」

上手い。
さすがのレックウザもその先が思いつかなかった。

『やるなぁボーズ!さすがはラルの弟分だぜ。』

「あぁ、そう……」


およそ30分が経過した頃、レックウザは減速し始めた。

『着いたらすぐに俺をボールに戻せ。目立つのは御免だ。』

そう言うと、レックウザは朝日が差し込む寸前のマサラタウンに、滑り込むように着地した。

「ありがとう。」

ユウトは礼を言うと、ラルドより預かったハイパーボールにレックウザを戻した。
しかし、ユウトは肝心なことを知らなかったのだ。

「……マサラにセンター無くない??」

確かにマサラタウンにはポケモンセンターが見当たらない。近くの大きな研究施設がその代わりを担っているようだ。

「うわー。調べておくんだった…。」

ユウトは頭をひっかきつつ、腰に下げたポーチから手帳状のものを取り出した。

「ポケナビ改良版♪」

それは小型・薄型のノートパソコンのようなものだった。おそらく、既存のポケナビを改良したのだろう。画面が大きくなり、見やすくなっている。
スイッチを入れると、画面に地図が表示された。カントー地図だ。

「よかった。隣のトキワシティに行こう。」

ユウトはポケナビ改をしまうと、はいているスニーカー、いや、ランニングシューズのスイッチを入れる。
そのまま、マサラタウンとトキワシティを繋ぐトキワの森に向かった。


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