学校はお勉強するところ

□秘密の恋
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「先生,おはようございます!」

「あんぬちゃん元気だね〜」

「そうですか,へへ」

芭蕉先生を見るだけで自然と気持ちが明るくなる。

わたしが朝からハイテンションなのは学校が好きだから。

勉強することが好きな訳じゃない。むしろ大嫌い。

学校が好きな訳はただひとつ。
芭蕉先生がいるから。


わたしの毎日が,いろんな色に色付いていく。


―学校はお勉強するところ―


朝から芭蕉先生に会ってしまった。嬉しい。
鼻歌なんか歌っちゃう。

「おはよう。あんぬ,ご機嫌だね」

クラスメートであり,友達である鬼男は,わたしの前の席に座っている。

片手にシャープペンを持ちながら挨拶してきた。

「朝から勉強??感心します〜」

「勉強っていうより宿題だよ。英語の単語練習」

「あ!わたしもやってない!」

「ばか」

「鬼男だって同類でしょー!諦めた,明日やってこよう」

「今やれよ」

「気分じゃない」

「ダメな奴だな」

鬼男はそう言って再び机に向かった。
わたしは机にうつぶせになって寝る。

早く放課後にならないものか。
部活に行きたい。

わたしは習字部に入っている。
本来は週2日しかない部活だが,わたし含めた部員全員,毎日部室に集まる。

部員は6人。
副顧問は阿部先生。
そして顧問は芭蕉先生。

習字部はゆるい部活だった。
字を書かない日があったっていい。

5日間のうちの3日間は,お菓子をつまみながらみんなとおしゃべりしたり,トランプをしたりして遊んでいる。

要するに名ばかりのしょうもない部活だった。

ただ,水曜と金曜の2日間は全員,神経を凝らして字を書く。

そこらへんのメリハリはちゃんとあった。

「先生きたよ」

そういえば鬼男も同じ部活だった。
そういえばって失礼だった。ごめん,鬼男。

眠たすぎる6限が終わりようやく解放された。
鬼男と共に部室に向かう。

…芭蕉先生に会える。
頭の中はそればかり。

芭蕉先生は顧問だから毎日部室に顔を出してくれる。

顧問になってもまともに指導してくれない先生がいる中,芭蕉先生はとても優しいと思う。
本当に素敵すぎる。

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