学校はお勉強するところ

□忘れられたスイカバー
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「あんぬ先輩珍しいですね。いつも必ず芭蕉先生に駆け寄るのに,阿部先生に浮気ですか??」

「な…!違うよ!」

妹子のセリフに胸がどきり。

「先生,ちょっと寂しいな〜」

眉を垂れ下げながら,困ったように笑う芭蕉先生。

「芭蕉さん,妬いてはいけませんよ」

曽良くんが言うと

「少し妬いちゃうかも。な〜んて」

てへっと先生は可愛らしく笑った。
冗談なことは分かっているのに,そのセリフを聞いて恥ずかしくなってしまった。

昨日の一件で先生をさらに意識してしまい,緊張するようになってしまった。

ただでさえドキドキしているのに,その症状がさらに悪化してしまう。

「芭蕉先生にも作りますから」

2つのグラスに氷を入れる。

「ふふ。ありがとう」

先生の笑い混じりのお礼に背中がくすぐったくなった。




「みんな,みんな…俺が何か言いかけてたの忘れてない??」

「ああ忘れてた」

と淡々と言う曽良くん。

「河合くん冷たいな」

とほほとする閻魔先輩。

「なんですか??さっさと話してくださいよ」

ムスッと怒ったように言う鬼男。

「鬼男くんなんでキレてんの…??」

閻魔先輩は不思議そうに鬼男を見る。
妹子がなぜかその後,鬼男を見てクスリと笑った。


「まあいいや。先生たちにも相談なんだ」

「なになに??」

芭蕉先生は乗り気満々で。

「俺実は…今日…」

閻魔先輩はゆっくり,間を空けながら話し始めた。

「告白された…」

「はぁ!?」

太子先輩と鬼男と妹子が同時に声を上げた。
曽良くんは興味なさそうにカルピスをすすり,阿部先生はほぉと楽しそうに頷き,芭蕉先生は目を輝かせていた。

わたしは声には出さなかったが,太子先輩たちと同じで驚きだった。

「お前,今日なんか元気ないなあとは思ってたんだ。理由がそれか。憎たらしいぞ!ちくしょー!」

喚く太子先輩を無視するように妹子が「いつ,何て言われたんですか??」と興味深げに尋ねる。

閻魔先輩は説明した。

「お昼休み。俺,クラス委員やってるんだ。同じ委員の女の子と,5限の進路指導のための資料を取りにいったんだ。そしたら,そこの資料室で突然好きだって言われた」


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