学校はお勉強するところ

□勉強、始めます
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「大丈夫ですよ。そんなに落ち込まなくても」

「そうだそうだ。私もクラスどころか学年で最下位とったことあるぞ」

妹子が慰めの言葉をかけてくれると太子先輩も続いた。

「嘘だぁ。太子先輩なんだかんだで頭いいじゃありませんか」

「ん,頭いいだって??もっと褒めてもいいぞ」

「太子先輩のカレー野郎」

「カレー野郎ってなんだ!」

太子先輩は,言動は部員一バカでアホだけど学力は多分,部員一良いはず。
鬼男とわたしができない組で,あとはみんな基本頭がいいが,その中でも実は一番勉強ができるという噂。



「なに騒いでるの??」

にこにこと笑いながら芭蕉先生が入ってくる。

「先生!あんぬがテストで一番ビリとったと言うから慰めてやったのにカレー野郎って言うんだ!」

「うわああ!カレー野郎〜!」

芭蕉先生はわたしをぱちりと見て「そうなんだ」と微笑む。

太子先輩のせいで芭蕉先生にバレてしまった。
太子先輩を思いっきり睨むと太子先輩はびくりと体を震わして黙った。

「そうだ,古典なら私で良ければ教えてあげるよ」

芭蕉先生が微笑みながら言う。

「いいんですか!?」

「芭蕉さんに教えてもらえるなら僕の負担も減りますね」

曽良くんが言う。

「うん,全然教えてあげる」

芭蕉先生が頷くと胸が躍った。




今日からわたしはテスト勉強を始めた。
それにつられたかのようにみんなも勉強を始めた。
机の上に2リットルのカルピスがどんと置いてあって,それを飲みながら教科書と格闘する。

わたしは数学の勉強から始めていた。
学校のシラバスのドリルで基本問題から解き始める。
分からないときは曽良くんを呼ぶ。


「こんな基本問題でつまづいているなんて先が思いやられますね」

曽良くんは毒づく。
自分の出来なさ加減に悲しくなる。

ついでに,と鬼男も一緒に曽良くんに教わる。

「河合やっぱ頭良いね」

と感心したように鬼男が言うと,曽良くんがまんざらでもなさそうな顔をするのを見て,可愛いと思った。


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