学校はお勉強するところ

□炭酸マジック
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「おい、妹子。そのステーキとハンバーグ、一切れずつ交換しないか??」

「いいですけど…」

妹子が大きめにカットされたステーキ肉を太子先輩の鉄板に乗せる。

太子先輩は満足そうにそれを食べ

「美味い。ほれ、私のも」

と言って、太子先輩は赤いニンジングラッセを2つ、妹子の鉄板に落とした。

「先輩…これがハンバーグに見えるんですか??」

「どう見てもハンバーグだ」

「ふざけるな」

妹子はそう言って、太子先輩の大きくカットされたハンバーグをつまんだ。

「くそ、妹子め!あとで見てろよ!」

「ニンジン食べてあげるからいいでしょう」

わたしと鬼男は妹子と太子先輩を観察していた。

「面白いなー」

鬼男が言う。

「ね」

とわたしも相づちを打つ。

「鬼男のそれ、美味しい??」

わたしは鬼男が食べているイカスミのパスタを指す。

「ああ、食べてみる??」

鬼男がフォークにパスタを絡めて差し出した。

「真っ黒なんだけど。美味しいの??」

「美味しいと思うけど。ま、食べてみなよ」

恐る恐る口に入れたら、しょっぱい。

「へー普通に食べられるね」

「あんぬのもちょうだい」

「どーぞ」

えびグラタンをスプーンにすくって鬼男の口に突っ込んだ。

「…あっづ!やけどするだろ」

「ははは」

「笑ってんじゃねーよ」

「イチャついてますね、暑苦しい」

曽良くんの冷めた声にはっとする。
わたしと鬼男がみんなから視線を注がれていた。

「イチャついてないよ。嫌だな曽良くん」

わたしは慌てて言う。

「付き合ってるなら付き合ってるってはっきり言ってよ。鬼男くん、オレに隠し事するなんてひどくない??」

「なにも隠してねーよ!前から付き合ってないっつってるじゃねーか!」

鬼男が顔を赤くして、閻魔先輩に対してムキになっている。
そこまで怒ることもないじゃないかと思いながらも、おかしくて笑う。

「あんぬ先輩。鈍感すぎるのも良くないですよ」

ふいに妹子がそっと耳打ちしてきた。

「え、意味が分からないんだけど…」

「先輩は鈍感なんです。もうちょっと相手の気持ちに気づいてあげるべきです。あれじゃあ、ますます…」

妹子が言葉を途中で止める。

「ますます…??」

「あーもう、何でもないです。はぁ」

妹子はそう言ってため息をついた。
妹子の言動を理解できないまま、でもそれを気に止めることなく、わたしはえびグラタンを食べる動作を再開した。


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