立海夢
□大切だから
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『浮気なんかしねーよ』
あの言葉は嘘だったの?
赤也君教えてよ。どうしてなの?もう私にあきちゃった?都合の良くない女は嫌い?
…教えてよ。
私の彼氏、赤也君が浮気してから1週間が経った。
相変わらず赤也君の周りにはいつも『新しい彼女』。私のことなんて忘れたかのように、いろんな女の子と遊んでる。
「よう、たまこ」
「赤也君…おはよう」
会うといつもこんな感じ。前はもっと話してくれたのに。
女の子達がつけてる香水が鼻につく。
「ねー赤也ーどうしてたまこちゃんと別れないのー?
「カンケーないだろ」
「だってさー!!どうして興味ないのに付き合ってるか意味わかんない!!ねー」
「…」
黙る赤也君。きっと図星なんだろう。
それに赤也君は自分が浮気してることを隠さない。むしろ堂々としてる。
別れてほしいからわざとやってるのかと思った。でも別れ話なんて持ち掛けてこない。一体何がしたいのかわからない。
「ねーどうなの?」
「うっせーよ」
「冷たいよ、赤也ぁー!!」
見たくない。聞きたくない。他の女の子といるところなんて。
私はまだ、赤也君のこと好きなのに…。
やっと学校が終わった。
家に着きベッドにもぐりこむ。制服のまま、ケータイを握り締め。
…赤也君からじゃなくても、私からでもいいんだよね。
私は赤也君と別れることを決意した。ずっと赤也君からの別れ話を待つのはつらい。だってそれは、今の浮気の状態を我慢して見てろってことでしょ?
ケータイを開き、赤也君にメールを打つ。
別れましょう。
たった一言打つだけなのに、メールを打つのだって慣れてるのに、こんなに一文字一文字が重く感じる。
やっとの思いで送信ボタンを押した。
きっと返信は遅いだろう。
今日はいろいろ疲れたなぁ…。少し寝ようか。
〜♪〜♪〜♪〜♪
ケータイの着信音で目が覚める。赤也君からだった。
ケータイを開くと、着信履歴が10件以上もあった。しかも全部が赤也君。内容は全部私が送ったメールの、理由を聞くものだった。
そんなのわかってるでしょ?
とぼけても無駄なんだから。
さっき届いたメールを見る。
"お前の家の近くの公園にいるから"
正直、会いたくない。会っても話すことなんかないし、どうせ、女の子も一緒なんでしょ?
嫌だ、とメールを返信する。
ケータイを閉じる暇なくメールが返ってきた。
"いいから来い"
その言葉にしかたなく家を出た。
公園に着くと、赤也君はブランコに座ってた。私も隣のブランコに座る。
「…どうしたの?」
赤也君が何も言わないので、自分から切り出してみた。
「どうしたじゃねーよ…」
暗く、低い声。
「お前が急に別れるとかメール送ってくるからだろ!!」
急に怒鳴る赤也君。
私は淡々と応える。
「…別に急にじゃないよ。前から思ってたことだから」
私の影に赤也くんの影が重なり、顔を上げると、いつの間にか赤也君が目の前に立っていた。
そして、私を見下ろしている。
「……何?」
「前からって…いつからだよ」
「4日くらい前からだけど」
「何でだよっ!!」
「……」
なんで?わからないの?気づいてないの?
私も、怒りがこみ上げてきた。
「うるさいなあ!!もう嫌になったからに決まってるでしょ!?」
初めて、声を荒げた。
赤也くんは相当びっくりしてる様子。
「・・・たまこ?」
「赤也君が悪いんだよ」
「…は?俺?」
「なにもわかってないんだね。赤也君浮気してるじゃん、それが嫌なの」
「…!!で、でもそれは…お前を思ってのことで…」
「私を思って?なにそれ。私のどこを思って浮気してるの?どうして?浮気しないって言ったのに、信じてたんだよ?なのにどうして?私、何か悪いことした?それとも、飽きた?ねぇ?どうしてなの!?………赤也君のウソツキ」
閉じ込めていた思いをぶちまける。
もう、泣いたりなんかしない。今まで散々泣いた。こんなところで泣いてたまるか。
「だから、別れて」
「嫌だ」
「なんでよ…だったらなんで浮気なんかしたの!!」
「自信がなかったから…」
「自信?」
「俺…本当にたまこを大切に出来るか自信がなかったんだよ…だから、たまこを壊すくらいだったら、他のやつにしておこうって…でも、たまこが好きだし、別れたくないから…」
何それ。そんなことで?ふざけないでよ……。
「意味わからない」
「…」
「そんなの…単なるわがままじゃん」
「うん…ごめん。そこまで不安にさせてたとは知らなかった、ごめん」
そんなにごめんごめん謝らないでよ。
決心が鈍る…。
「もう、赤也君のバカ!」
やっぱり私の決心は鈍った。
赤也君にぎゅうっと抱きついた。久しぶりのぬくもり。このぬくもりが大好きだった。
「え?」
「私、赤也君だったら別にいいよ。だけど、他の女の子と遊んでいるのは嫌だった」
「……ごめん。だから、たまこ…別れてなんて言わないでくれよ」
「わかった。いいよ…だけど」
「?」
「まず、あの子達と縁を切ってちょうだい」
赤也から体を離す。
「ああ、その前に制服からジャージからカバン、その他もろもろからあの子達のきつい香水をとってちょうだい」
「えっ…じゃあ、そしたら…ずっと側にいてくれるんだな?」
「うん」
「たまこっ」
赤也が抱きつこうとする。が、とっさによける。
「触らないで!」
「え?」
「浮気したバツよ!私が言ったことをやらないと、おさわり禁止!さらには近づくのも禁止なんだから!!」
「なんで…」
「に、匂いがきついのよ!!はっきり言って、臭いわ!!」
「え…っ」
さっきだって抱きついたのはいいけど、鼻がおかしくなりそうでたまらなかった。
大分ショックを受けてる赤也君。
こんなものは序の口なんだから。これからが大変なのよ、覚悟してね?
「ね、赤也君」
「あ?」
「…好きだよ」
「……俺もっ」
「だから、抱きつくなって言ったでしょおおお!!」
end.
(゚∀゚)ノ
ブン太をめちゃくちゃ出したかったけど、タイミングを見失ってしまった。