立海夢
□変化
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フラれてから数日後。
避けてると思われないように雅治と接してきた。
そして今日、協力してほしいと頼まれた。
好きな奴ができた。
自分からじゃなかなかうまく行かない。
付き合えるようにしてくれ。
その相手は私の友達だった。
いつも一緒にいて目がくりっと大きくて可愛い、おっとりしてるいい子。男子にも人気があって女子にも友達がたくさんいる子。
素直で純真で…私の想い関係なく、雅治とは付き合わせたくないような子。
なのに受けてしまった。
どうにでもなれ。
そんななげやりな気持ちで。
私はフラれたんだし、雅治は私を振り向こうとする素振りもないし、雅治が好きなら付き合わせてやろうじゃないか。
そう思って友達にいろいろと雅治の印象をよくするような話をしたり、メアドを交換させたりしてやっと友達が雅治と付き合った。
どうせ飽きられてすぐ終わるんだ。ヤるだけヤって捨てられちゃうんだ。
そう思ってた。
けど意外と長く続いていて、今までにない最長の3週間。雅治は浮気もしてない。これには他の女子も男子も驚いてた。
「たまこ!どうしよう私ね…とうとう雅治くんと……しちゃった」
それを聞いたのは友人と雅治が付き合って丁度1ヶ月になった日の朝。
友人が私のところに来るなりそう言った。
「案外遅いね」
もうヤられてんのかと思った。
「雅治くんは噂で聞いてたような人じゃなかったんだよ、やっぱり!」
知ってるよそんなこと。私が十分知ってるし、前から知ってるし、あんたよりも知ってるよ。
「最初はあんまり無口だから怖かったけど、すごい優しくて、とにかくカッコイイ!初めて!あんな素敵な彼氏と付き合ったの!」
無口じゃないし。結構喋るよあいつだって。あんたが何も話さないからじゃないの?優しいのだって昔からだから。誰が意地悪なんて言った?気づくの遅いんだよ。
「幸せだね…」
「うん!!」
なんだかつまらない。
いつもと違う雅治の恋愛は、見ててつらかった。あんな風に雅治と付き合いたい。幸せになりたい。
今まで覚えたことのない嫉妬に嫌気がさす。私ってこんなに醜かった?小さな人間だった?
大好きな友人なのに、あんなこと思うの嫌だ。良かったねって心から言ってあげたいのに…
なんで、汚いことしか言えないの?
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