トラブルメーカー

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ドアを開けたら跡部たまがいました。











合宿から帰った後の休日、部活は休み。ゆっくり過ごそうとベッドに寝転びながら本を読んでいると、ドアをノックされて開いた。


「どうしたの?」

「行くぞ」

「え!?」

いきなり手を掴まれ部屋から出されて走り出す。私はよくわからないまま跡部たまの背中についていった。
宮殿を出て、執事の待つ車に乗りこむ。すぐさまエンジンがかかって車が走り出す。


「…ってえええええ!?」

「何だ…?耳元で叫ぶなよ」

「何だじゃないよ!どこに行く気!?私これ部屋着なんだから!」

跡部たまはしっかり着込んじゃって準備OKかもしれないけど、私は手ぶらで髪もしっかり整えてないんだから!
乙女の休日を妨害するなんて許さないわ!

「心配すんな、もうすぐ着く」

「いやだからどこに…」

しばらく車に乗っていると静かに止まった。執事によってドアが開き降りてみると、目の前には若者向けのアパレル店があった。しかも女性もの。






「跡部たま…女装の趣味があっt「ちげぇよ」





「え?じゃあなんで…」

「お前のためにつれてきたんだよ」

「私?」

「ああ、そうだ。お前まともな服があまりないだろ。一人で出かけたりするだろうし、何着か持っていたいんじゃねーのかと思ってな」

「でも私、お金ないよ?」

「フン…、何のために俺が連れて来たと思ってんだ?アーン?全部払ってやるよ」

カードをちらりと見せて得意げに笑った。そう、効果音を付けるならばまさに『キラーン』。
くっそう!惚れたぜ!
世界一、カードが似合うんじゃないかああ!?

「跡部たま…嬉しい!」

「…なっ!?いいから抱き着くな!」





跡部たまに引きはがされ、早速入った。自分好みの服を見つけては鏡で自分の身体に合わせてみる。
跡部たまはというと、そこらへんの服の値札を見るなり鼻で笑っている。
トップス五千円が安いというのか!?
さすがだなあ!ぼっちゃん!

気に入ったものを持って試着室に入った。
うん、うんうん、いい感じじゃない!?
小さな花が散っている柄の薄ピンクの膝丈ワンピース。
まるで…女の子みたい!!!!
これでにおたんとのデートに行ったら告白されちゃったりして!テヘペロ!
そうだ!跡部たまに見てもらおうっと!

試着室から出て跡部たまの前に出てみた。

「じゃーん!見て見て!似合ってる?」

振り向いた跡部たまが私の姿を見るなり目を真ん丸にした。
お!結構、好感触な反応じゃない?

「ねえ、どうなの?」

ずいっ、と迫ってみる。
すると跡部たまは目線を逸らして一言、

「…い、いーんじゃねーの?」

「…そっけなーい!!もっといい感想ないの?」

「……似合ってる」

「ん?」

「似合ってる…可愛らしくて……もういいだろ!似合ってるっつったら似合ってんだ!俺様が褒めてやってんだ!自信もて!ほら、買うんだろ!?さっさと着替え直して、寄越せ!!」

最初は跡部たまらしくない小さい声だったけど…

『可愛らしくて…』

いきなり声が大きくなったのは照れ隠しなのかな?

ふふっ。



「ありがとう!跡部たま、好きよ!」

「だから抱き着く……………!?」

いきなり黙り込んだから身体を離して顔をのぞきんだら、驚いた顔してこっちを見てきた。

「…?跡部たま?」

「いや…なんでもない…。他には?ほしいものあるか?」

「あっ、うん…!」

さっきの間はなんだったんだろう…。
ま、いっか。
それより下着も欲しいなぁ…。さすがに上下一着ってのはきついよね。合宿のときはメアリーから予備を貸してもらったけど、このあとの生活を考えると…上下一着ってのはきついよねえ。

「ねえねえ、下着見てきてもいい?」

「ああ、構わねえけど…。」

「あ!そうだ跡部たまも選んでよ!」

「…ああ。……っはああ!?なんで俺様がっ…!」

「一人じゃ選びきれないし」

「あのなぁ…普通男に下着なんか選ばせるか?大体…俺が選んだのを付けるんだろ…?それってやっぱりアレなんじゃねえのか?そもそも選ばせようとしてる時点でアレなのか?アレだよなあ…さっきもあんなこと言ったしなぁ…」

「…なにブツブツ喋ってるの?選ばないならもういいよ」

「えっ…ああ…」


跡部たまをそこにほって置いて下着のコーナーに向かった。
それにしても、跡部たま、なんかさっきからおかしいなあ。おどおどきょどきょどって…お前は小鹿か!
あんなの跡部たまじゃないよ。




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