コナン

□08 Wonderful Opportunity
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全ての墓を周り終わり、私の命はジンさんに預けることになった。

居場所があればソレでよかったし、ジンさん好きだから正直嬉しい。

ニコニコしながら車に揺られ、箱根から何処かに向かっている。
看板を見ると、恐らく横浜に向かっているようだ。

「組織には既に連絡してる。
お前も入ってもらうぞ」

助手席に居るジンさんが少し後ろを見ながらそういう。

「何やってる組織なの?」

「資金集めや人材集めたりだの、邪魔になりそうなやつを排除したりしてる。
他は機密事項だ、詳しくは話せねぇ」

「まぁ、あんまり聞きたくないです」

何か怖い。
知っちゃいけないことってたくさんありそうだしね。

「お前は何も知らなくていい。ただオレの側にいろ」

なんか愛の告白みたいだけど、その言葉を口に出さずにそのまま車に揺られる。
組織に入ってもらうって言っても、どういう審査があるのか知らない。

「浜のホテルで組織の連中が集まる予定がある、その間抜けなツラを覚えてもらえ」

「出たよまた貶した。
へぇへぇ、どうせ私は間抜けですよ」

そしたらジンさんはくくっと笑い、私もつられて笑う。
笑顔のまま窓の外を眺めていたが、深夜なので眠くなってしまい、そのまま眠っていた。

目的地についてペチペチと頬を叩かれて私はようやく目覚める。
まだ眠気が抜けなくて目をこすれば、デコピンを食らわされて痛みで悶えた。

「目ぇ覚めたか?」

「さめました…っ」

涙目で外に出てホテルに入る。
だけどまだ寝ぼけているせいなのかフロント前の階段の一番上で躓き、階段の中央に敷かれていたカーペットを掴んで下へと転がった。
その際にカーペットに巻かれてしまうが、そのお陰で怪我はなかった。

「おいおい、大丈夫か?」

ウォッカさんが駆け足で助けに来てくれる。
私はうつ伏せの状態でスマキになり、動くことが出来ない。
で、ジンさんはゆっくりとした足取りで到着。何やってるんだと言わんばかりの顔です。
ちょっとつまらなそうなので、一発芸としてスマキのままちょっとエビ反ってみた。

「エビの真似!!」

そしたらジンさんに横っ腹を蹴られる。
その衝撃で思わずゲフって声出したんだが、そのままジンさんが私の背中に座った。

「いいところに丸太があるな」

「ぐえええええ!!
重い!!ジンさん重い!!!」

「ウォッカ、撮れ」

「へい兄貴」

「ちょ!なに撮ってるんだ!!
撮影料取るぞ!!おいいいやめてぇええ」

「撮影料ならオレの身体で払ってやる」

「それ要らな―――「ウォッカ、隣座れ」

「きゃーうれしージンさん抱いてー!」

その言葉で満足したのかジンさんは立ち上がり、階段を登る。

「ちょ!助けてよー!!」

「丸太が口利いてやがる」

「しねばいいのに!!」

ようやく助けられたけど、転がされて目が回った。気持ち悪いうぇえええ。

「しかも埃っぽくなった…」

そうだよね、皆が歩くカーペットだもの…
埃を叩くとウォッカさんも手伝ってくれた。あざっす。

「でもよ兄貴、美海里はこの格好で良いんですかい?
もっと女らしい格好でもいいんじゃねぇですかい?」

フロントを過ぎ、エレベーターを待つ中でウォッカさんが私の服装を見て着替えたほうがという。
確かに、お偉いさんが来てるなら着替えたほうが。

「かまわねぇよ。むしろ、こっちの方が面白ぇだろ」

「間抜けが引き立つってか?」

「分かってるじゃねぇか」

ムカついたんで彼を睨むが、彼はただ笑うだけだった。

「ここのスイートにはベルモットが泊まってるんでしたっけ?」

ようやく降りてきたエレベーターに乗り込み、扉が閉まると同時にウォッカさんがジンさんに質問した。
ベルモット?

「あぁ。キャンティとコルンもそろそろ来るだろうよ」

何の集まりなのか知らないけど、私は黙ってついていった。
そして客室では最上階に着き、目的の部屋へと向かう。
黒スーツ数人が所々に立っているので、少し不安を覚えてジンさんのコートを握った。

「あら、この子が例の人材?
映像で見るよりも小さいわね」

女性の声がした。
黒服の綺麗な女性…でも、顔は帽子でよく見えない。
どうやら、この人がベルモットさんのようだ。
…映像って、なに。

「あぁそうだ。2人はまだか」

「えぇ、まだよ」

そう言って彼女は中に入り、スイートルームは広くて眺めも良い。
彼女は帽子を取ってこちらを向いて微笑んだが、私はその顔を見て声を出して驚いた。

「くっクリス・ヴィンヤード!?うそ!!本物!!?」

驚いたと同時に扉の開く音がした。
そっちを見たら、短髪の女性と細長い男性が入ってきた。

「ジン、キてやったよ」

女性がそう言って近付き、その際にベルモットさんをひと睨みし、そして私に向いた。

「このボウズなら知ってるよ、花敷との取引の時にいたねぇ」

彼女はそう言ってニンマリ微笑み、花敷との取引に見た女性だと気付いた。
うわぁ、目の横に蝶が掘ってあるよ、すげぇ。

「こんなのが使えんの?ビビってんじゃん」

キャハハと笑ってジンさんを見る。
確かに、ビビってますとも。怖いねぇちゃんなんだもん。

「思った以上だぜ。
オレの弾にも当たらねぇし、逃げ足は早い。
それに撃ち合いにも慣れてる」

「なにそれ、ただのラッキーマンじゃん。
何処のボウヤかしらないけど、頼りないよ」

受け入れられてないのでちょっと悲しくなった。
ですよねー、私そんなにすごい子じゃないし…

「私も思ったわ。
ジンが見込んだ人材だと聞いたからどんなのかと思ったけど…
人を殺したことがあるの?なんだか雰囲気は普通の子だけど」

皆さん私の事を過大評価してますね!?
もっと控えめにしてよ!!うわーん!

「そいつは二下廻の娘だ」

ジンさんの言葉に、彼女ら2人は驚いて私に視線を向ける。
短髪の女性が私の帽子を取ってまじまじと顔を見てきた。こわい。

「全然気づかなかった!女かよ!!
しかもこの前くたばったっていう二下の娘!?」

「二下の子としか聞いていなかったから、ボウヤだと思っていたわ」

「こ、この格好ですし、そう見せているので…
あと、母とは籍を入れてなかったので、私は二下ではなく萌葱です。
萌葱美海里といいます」

小さくお辞儀をしたら、短髪の女性が少し目を細める。
気に入らなかったんだろうか。

「…ジンとヤッた?」

「―――っ!!?」

とんでもない質問に一気に顔の温度が上がった。

「なんつう事訊いてるんですか!!」

「いや気になるじゃん。
ジンのお気に入りの女なんだろ?」

「あぁ。抱くといい声で鳴くからな」

「てめぇちくしょうだまってろくっそ!!」

「あら、随分口が汚いのね」

ベルモットさんが笑い、私はとりあえず気になったことを質問してみることにした。

「…クリス・ヴィンヤードさん、ですか?」

「えぇ、そうよ」

本物だった。
こんなに有名な女優まで裏の世界の仕事をしていると聞いて驚いたよ。
まじっすか。

「あら、アナタも十分おどろく存在よ?
あの有名な暴力団グループの二下廻の娘という情報は、あの組に潜らせた部下だって知らないことだったのよ」

「まぁ、幹部しか知らないことでしたから…」

「へぇ…まぁいいわ。
昨日送られてきた映像を観て、あの方も組織の中に入れることに意義はなさそうだったわ。それに、ジンから何度も逃げ回ってるくらいだから、逃げる能力は使える。
すぐ捕まるような人は組織には要らないもの」

どうやら、私はなんとかこの組織に要られるみたい。ほっとした。

「コードネームも与えられるみたいよ、良かったわね。
自己紹介がまだだったわね、私はベルモット」

「よ、よろしくです」

深めに頭を下げれば、強めに肩を叩かれ隣に短髪の女性が並んだ。

「アタイはキャンティ。
コッチがコルン」

細長い人の自己紹介もされ、そして今日集まった理由もついでに話される。
どうやら暗殺しなければならないターゲットが居るようで、その話し合いだった。

「美海里、お前も作戦に入ってるからな」

「早くないっすか!?まだ研修期間とかあるでしょう!?」

まさかのジンさんからの一言で私は焦る。
仕事するにはまだ心の準備がっ

「跳弾で護衛の野郎の頭をふっ飛ばせばいいだけだ」

「簡単に言いますねぇ」

私に拒否権はないので、結局作戦に取り入れられているようだ。
作戦はまだのことなので、今日は小さな打ち合わせだったみたい。

「じゃあ、アタイたちはもう部屋に戻るよ。
明日は違う仕事もしなきゃならないんだから」

キャンティさんはそう言ってグッと身体を伸ばした。
もう三時じゃん。ねっむ。


 
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