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□茜青葉月。(恋愛)
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「ねえ、ちょっと待ってよ!」

そう叫んでも前を歩く彼は歩を緩めようとする素振りさえしない。

「ねえ! ねえってば!」

すると彼は振り向いて只一言。

「うるせえ。ここで待ってろ」

初めて聞くその彼の声に私は足を止めて呆然としていた。

虫取網に籠を持ち、麦藁帽子を被って意気揚揚と彼は歩いてゆく。

そんな彼の後ろ姿を只々見つめていた、あの夏――――――――――。



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