original...
□この扉の向こうへ。(お題)
1ページ/3ページ
(う……)
目の前には毎朝くぐる教室の扉。
見慣れたはずのそれが今、全く別のもののように思える。
「ふー……」
とりあえず息を吐いてみた。
だがそんなことをしたところで高鳴る胸がおさまるわけでもなく。
(う……どうしよう)
目の前では今だけ重い扉がその口を閉じている。
なんてことはない。いつものように窪みに手をかけて左に引けばいいだけだ。
(ふー……よし)
意を決して顔をあげる。
窪みに手をかけ、ゆっくり一回深呼吸する。
一息に扉を開けて一歩踏み出した。
大好きな彼が待っている、この扉の向こうへ。
a