隣の人

□第一話 猫
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――――――ピンポーン

突如鳴り響いた訪問者を知らせる音に顔をハッと上げる。

(お隣さんかな。私から挨拶しようと思っていたのに)

さっさと挨拶に行かなかった自分を悔やみつつ、覗き穴を覗くことなくドアを開ける。

「すいません、私から挨拶に伺おうと……………………は?」

自然に出てきた作り笑顔を向けた先にあるはずの顔はなく、ただアパートの廊下の壁が視界を埋める。

「………………」

やられた。
引っ越し早々のピンポンダッシュ。
私は一気に温度が高くなった顔をしかめると、悔しさを紛らわすかのようにドアを勢いよく閉めた。
当然、その姿をじっと見ていたものがいたことなど、私が知るよしもない──────。


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