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□神田くんと室長の××〜神コムなのか?コム神なのか?
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何故だ…。



ボクが君に何をした?


何が不満なのだ…。



どうして…。


どうして…。



こっちを睨むんだー!!



〜神田くんと室長の××〜




夕刻せまる。執務室。
中には室長コムイとエクソシスト神田が居た。


『か…神田くん…?』
半ば弱々しいくらいまでに相手の名前をついに吐いた。


『…。』


が…

名前の当人は、眼光鋭いまま、腕組みし黙ってソファーに居座り続ける。

かれこれ一時間は神田は、こんな感じだ…。

ただ…ただ…コムイを見つめるというより…睨み続けるのだ。

(何かしたかな〜?)

コムイは無言の圧力に怯えるばかりだった。
痺れを切らしたのは…やはりコムイの方だった。

『神田くん…悪いけど、仕事が進まないから…用がなければ…。』

『コムイ!!』

神田は、急に目を見開きコムイの名前を勢いよく呼んだものだから。

驚きと恐怖にコムイの手からペンが落ちる。

『はい!!?何でしょう?』

神田はいきなりソファーから立ち上がった。
そしてコムイの机にガツガツと向かっていった。

その勢いに恐怖を感じたコムイは身を縮めた。

『何?何?何?何?どうしたの?怖いんですけど!!!』

コムイは恐怖に叫んだ。

神田は下を向き…手をぐっと力強く握りしめていた。

(何?その拳でボクを殴る気?)

思わずその様子に息をのんだが…当の神田はそこで動きが止まった。

不可思議に感じ恐る恐る神田の表情を覗くと…

(え?)


さらに不可思議な事が起こっていた…。

(何故…顔を赤らめる?恥ずかしいのか?恥ずかしいのか?神田くん?)

まるで照れた内気な少女のような顔がそこにあった。

元々神田は、顔が美しい。

表情さえあまりないが…

その表情を少し変えるだけで何とも言えない艶めかしさが浮き彫りになる。

(無駄に顔が綺麗だ。)

だだ単純にコムイは感心した。
それは、子供が無邪気に美を讃えるのと同じくらい深さのない素直な感想だったりする。

『コムイ!!!…おっ…おっ…お…』


急に神田は何かを伝えようとした。

『…お?』

(どうした?神田くん?がんばれ神田くん!!!)

コムイは無言の圧力からの解放を願い神田の何かを心なしか応援した。


神田は耳まで真っ赤になった。

(いつもと様子がちがうぞ!!どうしたの!?神田くん!!!)

もどかしい。

『お前に……頼みがある!!』

ようやく神田は、決心した様で激しくコムイを見つめる。
が表情が真剣すぎて怖い。

(…怖っ!!)

『ボ…ボクに頼みぃ!!?…何かな?』

予測してない展開に薄らコムイの心拍数があがる。
真剣な表情の神田と違い…心拍数の上昇を悟られぬ様に薄ら笑いを浮かべていた。

もうこれは彼の癖なのである。

焦っている時ほど…あえて冷静なフリをする。

『……他の誰にも言うなよ。…コムイ!!お前だけにしか…頼めない…。』


急に…らしくもなく弱々しく言うものだから胸が締め付けられる程可愛く見えて仕方ない。

しかも自信が無いのか目が伏し目がちになっていて…長い睫毛がより神田の美しさを際だてた。

コムイは手を伸ばし神田の握り拳を優しく包んだ。

『どうしたのかな?』
優しく微笑みながら神田に問う。

神田はそんなコムイの手を握り返しこう言った。

『…キスさせろ…』

『は?』


『何度も言わせるな…お前とキスがしたい!!』

『待って…神田くん…言ってる意味が分からないのだけど…』


『やっぱりダメか…』

神田はしょげた。
面白いくらいに…。

『ダメって言うより…いきなり何で?何でボク?』

神田はコムイを掴む手に力を込めた。

『だから…お前にしか頼めないと言ったんだ!!』

神田は怒鳴った。

(え?何?このタイミングで逆ギレ?)


『神田くん…色々と言葉が足りないと思うんだけど…。』

神田は舌打ちをしながらこう説明した。

神田の拙い説明によるとこうだ。

こないだ任務で訪れた地でアレンとアレンの知人が偶然にも街で再会したらしく…

その時に親愛のキスを頬にしていた。

何時もなら気にも止めないのだが…アレンが言った一言が引き金になったらしく。

『神田は本当東洋人らしい東洋人ですね。キスぐらい単なる挨拶なのに…本当に東洋人って恥ずかしがり屋さんばかりですね』

東洋人と恥ずかしがり屋。
この二つのキーワードが、プライドの高い神田の神経を異様に逆撫でたのは言うまでもない。

話を聞いたコムイは…アレンが神田にわざと意地悪をしたのが咄嗟に分かった。

頭の回転がいいアレンはバカ正直でクソ真面目な所のある神田をたまにからかう。


(相変わらず…あの子(アレン)小悪魔…。)

呆れてため息が零れる。

『…で…ボクでその挨拶のキスの練習がしたいと…?』

神田は、顔を真っ赤にして首を横に振った。

(え?)

『違うの?』

神田は黙ってコクンと頷く。

どうやら違うらしい…。だとしたら…?

コムイは困惑した。


『…挨拶のキスをしてしまう前に…俺はお前とキスがしたい。』

『へ?』

あまりの可愛らしいおねだりに間抜けな声がコムイから出た。

初めては、あなたがいいのっ…

て純潔を思わせるような言葉に驚く。

まるで…

『神田くん…愛の告白みたい…。』


『みたいじゃなくて!!俺はお前が…何か好きだ!!だからキスさせろ!!』

(むちゃくちゃだ…。)

言っている事は、実に傲慢だが…。
切ないぐらいに真っ直ぐで可愛い申し出だった。


こういう場合はどうしたら良いのだろう?


暫し考えて居ると…自分を掴む力が急激に弱まったのが分かった。

焦って神田を見ると…

神田はもう涙目になっていた。

どうしようもなく胸が締め付けられる。


淋しそうに自分から離れようとするその手をコムイはもう一度掴み。

強めに引き寄せた。

神田の口角に優しく触れるようにキスをした。

まだ10代のその唇は柔らかく同時に触れた頬のみずみずしい事。

若さをコムイは唇全体で感じた。

そっと神田から離れると神田の耳元で優しく囁いた。

『ダメなんて言ってないでしょっ。』

神田はまた顔を赤くする。
目を見開きコムイの両肩を強引に掴んだ。


『お前からなんて卑怯だ!!ルール違反だ!!』

『えぇっ!?…ルールも何も…キスしたいって言ったじゃーん。』


『俺からじゃないと意味がない!!』

(すっげーキレてる)

キレてるのにキレてる理由が可愛い過ぎて笑いをこらえるのに必死になった。


『はいはい。わかりましたよ。じゃあ…ボクは、どうすればいいの?』

神田は難しい顔のまま小首を傾げていた。


(あっ…。そうだった。この子ちょっと…天然だった。)


『とりあえず…コムイ!!!此処に寝ろ!!』


神田は、ソファーを指した。
そのソファーはコムイがよく仮眠を取るソファーだ。
何となくだか…神田の考えている事が分かった。

『はい。はい。』

コムイは、いそいそ移動をする。

『はい。は一回!!』

『はーい。』

神田の指示通りソファーに横になる。

『メ…メガネ取るぞ?』
『はい。』

(メガネとってもとらなくても同じだって…)

笑いたい。突っ込みたいが…神田があまりに必死なのでぐっと堪えた。

『バカ!!目を閉じろ!!』

『はい。はい。』

『はい。は一回だ!!』
『はーい。』

もう、可笑しくて仕方ない。
笑いを堪えて口元がにやけてしまう。


『コムイ…行くぞ?』

(どこに?)
思わずめを開けた。

目の前には、綺麗で美しい顔が真っ直ぐこちらを見つめていた。


『目を閉じろ!!』

『…はい。』


(きっと神田は寝ているボクにキスしたかったんだ。だから長いこと居座り眠くならないか待ってたんだね。…………眠くなるわけないじゃん!!)


神田の手がコムイの頬に触れた。

その後すぐに念願?の神田からのキスが来た。

神田の流れるような黒髪がさらりと重力に従い落ちる。


(見た目と違い随分優しいキスをするんだね。)


触れるだけのそれは、優しい。

ゆっくり離れた唇は…こういった。

『コムイ…もう一回…キスさせろ。』


『はい。』


言葉とは違う優しいキスがもう一度唇に触れた。

ただそれだけ。





☆終わり☆


てゆうか…すいません( ̄□ ̄;)!!
ヘタレな神田ですいません。

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