ノベル

□イイオトナ
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意外な人物と

予測しない場所で

遭遇した時の



気まずさは…



何とも言えない。
ドキドキを孕んでいる。



〜イイオトナ〜



『あれ?リーバーくん?』


『ちょっ…えっ…何で此処にいるんすか?』

深夜の大浴場の脱衣場で…
上司と部下が鉢合わせ。


部下のリーバーは、誰も居ない時間帯を狙って来たのにがっかりした。



上司のコムイも共同浴場が苦手な部下が此処に居る事に驚いた。


『それは、ボクの言葉だよ〜。だってリーバーくん共同浴場嫌いじゃん。何で居るの?』


『嫌いというより…苦手なんですよ…。人前で脱ぐのが…だから人の居ない時間帯を選んだのに…』


(よりにもよって…何でアンタが…)


リーバーは、バツが悪そうに俯いて言った。
所が当のお茶らけコムイは、ニヤニヤと笑いだした。

『やだぁ〜リーバーくんかわいー』

『うっさい!!…俺…自室のシャワー行きますわ…ゆっくりどうぞ。』


『ちょい待った!!』

コムイはリーバーの白衣をはしっと掴んだ。

『…何すか?』

振り返るリーバーのコムイを見る目の冷たい事。


『…一緒入ろうよぉ…何か一人で大浴場は怖い。』


『キモっ!!ねだるな!!!アンタいい大人なんだから一人で入れるだろ!!』

コムイは涙目で頭を横に振った。

『もう…リナリーは一緒入ってくれないし…グスン。』

『当たり前だろ!?アンタいくつだよ!!』

『もうボクにはリーバーくんしかいないのっ!!』


『気持ち悪い事を言うな!!!』


結局、上司のねだり勝ちで…
リーバーは一緒の入浴をするはめになった。

(俺…人に体見られんの苦手なんだよ…。)


仕事は遅いくせに…

脱衣の早いコムイは、アヒルの玩具片手に浴場へ出て行ってしまった。

(何かもう…はしゃいでいる。さっきまで仕事じゃ死んでた癖に…)


『ねぇ?リーバーくんまだ?』

『うぉっ!!』

先に行ったと思った上司がいつの間にか近くに居た。

(何て心臓に悪い人なんだ!!!)

『すぐ行きますから!!てかアンタ本当にいくつだよ!!』

リーバーは、浴場に出る前に鏡に映った自分の姿をチラッと見た。
自分で自分の姿を見るのもちょっと苦手だったりする。

『はぁ。』

溜め息を漏らし浴場へ入った途端…お湯がリーバーの顔めがけ飛んで来た。


『あはははははは…』

爆笑する目の前の上司…腰にタオル一枚巻いて…手には水鉄砲。

『テメェ…』

水滴を滴らせ上司を睨むリーバー。

『もう本当そういう絡み…止めて下さい。面倒くさいんで…』


滴るお湯を拭い洗い場に向かった。

『リーバーくんノリ悪い…』

コムイはむすくれた。
『アンタ…イイ大人なんだから…他の人が見てたら、呆れますよ…』

『リナリーは、ノリノリだったのにぃ〜』

『アンタそれ…何年前の話だよ。』

コムイは暫し考え込む。

『一年前…かな。』

(はっ?)

リーバーは、一瞬ヒヤッとしたが…すぐ冗談だと思った。

(いやいやいや…一年前って…リナリーちゃん…)

『リナリー最近一緒に入ってくれないから…』

(えっ?この巻き毛はマジで言っているのか?)

リーバーはあえて冷静を装いながら聞いた。
『無理でしょ?どう考えてもリナリーちゃんとお風呂だなんて…妄想も大概にして下さい。』

『嘘じゃないもーん』


コムイはつまらなそうに浴槽に浸かった。

『アンタが…女湯に?…犯罪だよ…』

『違うよ。リナリーがこっち(男湯)に…』

カタンー!!

リーバーのシャンプーボトルが倒れた。

『はっ?』

『君はあまり共同浴場こないから知らないけど…一定の時間帯を清掃中にしてもらって一緒に入ってたんだよ。』


『え……マジすか…』

面白いくらいにリーバーの顔が青ざめる。

『うん。』

気にも止めず笑顔でコムイは応える。

(ちょっ…リナリーちゃん…)

『リナリーちゃん…水着とか着用ですか(笑)』

『あははは(笑)そんなわけないじゃん!!リナリーはタオルとか巻かない派だから…全裸だよ。』


(リナリーちゃぁぁぁん!!!何してんのぉー!!)

リーバーの脳裏に全裸ではしゃぐリナリーが通過した。


そう言えば…残業中にリナリーがコムイを呼んで暫く居なくなる事があった。

(マジか!!)

『アンタ…シスコンも大概にせんと…』


リーバーが振り返った瞬間…遠くに居たハズの上司がまた近くに居た。

(近いー!!)

『近いー!!』

『何?そんなに大声出さなくても…』

コムイは隣に座りリーバーをマジマジと見た。

『何すか!!?ジロジロ見らんで下さい!!』

『綺麗な体してるのに…リーバーくん嫌がるよね?…何で?』

『別にいいじゃないですか…。構わんで下さい!!!』

リーバーはコムイに少し背を向けた。

『…。』

コムイは無邪気な子供のようにリーバーを覗き込む。


『体見られるの…恥ずかしい?』

コムイが急に小首を傾げて上目遣いで聞いてくるものだから…

『うわっ!!』

リーバーは、驚きのあまり顔が一気に熱くなった。

『アンタの妹ちゃん程大胆じゃないでね!!!見せれる程の体じゃねーし!!つか見るな!!』

リーバーは顔を真っ赤にし完全にコムイに背を向けた。

『リーバーくん!!見て!!!見て!!!』

コムイはそんなリーバーお構いなしに嬉しそうに肩をつついた。

『何すか!!?』

絡みが面倒になったリーバーは、うっとおしそうに振り返った。

『ばーん☆』

そこには、唯一のタオルという砦を取っ払い…笑顔で秘部を晒す上司が居た。


『ひぃっ!!何やってんだ!!バカ!!』


『いやぁ〜恥ずかしさを払拭するには…まずボクからオープンにしないとダメかなっとおもって…』


『オープンにも程があるわぁっ!!』

『テヘッ☆』

『テヘッじゃねーよ!!ちっとも可愛くないから!!』


『全く…アンタって人は…。』

(イイオトナの癖に…)
リーバーは限り無く目の前のイイオトナに脱力した。



その一件があってからなのか…少しだけ…。

『俺…室長と一緒なら共同浴場も良いと思えた…。』


らしいが…。

その呟いた一言は、教団内に波紋を呼んだ。
が…それは、また別のお話☆







☆終わり☆


すいません(土下座)
もう本当すいません
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