ノベル

□小さな恋☆
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この日が来るのは…

分かっていたのに…。




〜アナタが恋しくて〜

神田→ティム

その3



夜の教団…。
明日の任務に向けて…しっかり睡眠を取っておきたい神田。


が…聞き慣れた羽音がドアの向こうで騒いでいる。


(うるせぇ…!!)

羽音の正体は分かっている。

仕方なしに体を起こし…神田はドアを開けた。

呆れ顔の神田とは違い…そわそわと落ち着きのないティムがいた。

溜め息を吐きながらもティムを部屋に入れた。
ティムはそわそわと神田の周りを飛び。

神田の頬にすり寄った。

神田は明日から任務で二週間程離れる。

神田と組むのは、ラビで…今回、アレンと一緒ではない。

ティムにとっては、暫く恋しい人に会えないのだ。


ティムの異様な懐き方に

未だ恋とは気づかぬ神田は、ただ懐かれているとしか思ってなかった。


それは、小さな子が近所のお兄さんに懐くようなそんな感覚でいた。

ティムを手のひらに乗せると神田は顔を近づけた。


『明日から任務だから…』


小さい子に説得するように言った。

が…ティムのお得意の嫌嫌攻撃が始まった。

『嫌と言われても…』

神田は柄にもなく困り果てた。

『お前はもやしの所のゴーレムだろ?連れては、いけない。』

ティムは、神田の手を離れ痛いくらいに頬にすり寄ってきた。


こんなにゴーレムに懐かれた事が未だかつてない神田は、対処しかねていた。


アレンの所にティムを突き返すのも何だか…。
かと言って一緒に連れてはいけない。


『あっ…』


神田は、ティムを掴むとベッドに置いた。

『ちょっと待ってろ…』

ティムにそう伝えると…
いつも使っている、髪紐をシュルシュルと手首から外した。


神田は、その髪紐を少しだけ短く切ると…

短い方を、手慣れた手付きでティムのしっぽに結んだ。

『まぁ…その…おそろい…ってやつだ。お前が…寂しくならないように?』


神田は、ゴーレム相手にらしくない事をしたと照れた。


が…。ティムは、ひどく感激した。


嬉しさのあまり神田の周りを飛び回り。

激しく頬にすり寄ってくる。

(地味に痛てぇ…)

それでもティムの喜びは充分神田に伝わった。



翌日、アレンを無視して…
ひたすらリボン姿の自分にうっとりしているティムがアレンの自室で見られたそうだ。


愛はいつだって残酷な程盲目だ。



☆つづく…のか?
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