ノベル

□小さな恋☆
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ふとした事で頭からその姿が離れなくなったら…



きっと、もう…恋しく思い始めている。





〜離れ離れでいても〜
ティム→神田
その4


…神田サイドversion




某国の夜の鉄道。

神田とラビとファインダーの三人は、小さな汽車に乗り込み。

偽物のイノセンスの情報に肩を落としていた。


『ユウ!!ユウってさ!!』

神田は先程から、ぼんやりと車窓からの暗闇を見つめため息を吐く。

時々うわごとのように…

『…アイツ…また窓枠とかに挟まっちゃないか?』

などと…聞こえるか聞こえないかの小さな声で囁く。


が、その目は虚ろで…
いつもの神田の気迫が全く抜けきっている。

仲間のとんでもなく意外な一面を見たラビは更に慌てて…
目の前の彼の名を呼びつける。

『ゆーーぅっ!!……蕎麦男。』

最後にボソッと付け足して…。


『…うるせぇ…。』

ついに神田の目に精気が戻った。

『あっ…気づいたっ!!ユウぼーとして変さ。何かあったか?』


『…うるせっつてんだろうがっ…』


『ラビ殿お静かに…!!』


『へ?何で俺だけ?』
何故かファインダーにラビだけ注意された。

ラビの一際元気で明るい声はよく響くらしく…。

その声に引き寄せられてか…。

汽車内を縄張りとする小売り商が寄ってきた。

バスケットいっぱいにこの土地で人気のお土産だと…。

布と毛糸で出来た人形を押し付けてきたり。
恋愛の神様の元で作った鈴だっといい強引にラビのピアスに付けようとしたり。

この小売り商の相手が老婆なだけに…ラビも対応に困っていた。


ところが…珍しい事が起こった。

『そこのババァ…』

小売り商の老婆が神田の声音に耳を傾ける。

『なんだい?そこの若いの…ん?あんたなかなかのいい男じゃないか…彼女にどうだい?髪飾りなんか。』


老婆は、小売り商特有の図々しさで神田の目の前にきらびやかな髪飾りや装飾品を並べた。

ラビは冷や汗をかいた。
老婆がやられる!!
っと危機感だけで、ファインダーと無言のアイコンタクトが取れた。


『ばぁちゃん!!俺ら…』

ラビが老婆を神田から引き離そうとした時だった。


『…コレをもらうぞ…。』

神田は、水色に白の刺繍の入ったリボンをつかんだ。



(えっ…)
ラビとファインダーは固まった。


(ユウ!!それは、ユウの髪紐にしてはだいぶ女の子っぽいさー。)


(神田殿!!如何なされたっ!!髪紐ならまだあるだろうに!!)




『あらっおにーさん。お目が高い。彼女は水色が似合うのかい?』


『あぁっ。ゴールドだからな。全身。』

『金髪美女かい?羨ましいねぇ。』


老婆は神田から小銭を巻き上げるとそそくさと次の営業へ向かった。


神田は、簡易包装されたソレを大事にポケットにしまった。


『……ユ…ウ…?ソレ…自分の?』


『…あぁ?んなわけないだろっ!?…刻むぞ!!!…お土産だ。』


『あっ…だよね…あはあはあははは。』

ラビが笑い出し。
釣られてファインダーも笑った。

(あぁ。良かった。ユウ自分で使うんじゃないさ〜。)


(神田殿の趣味を少し疑ってしまった)






でも…



誰に?








ラビは、ものすごく気になった。

あの神田が他人にお土産!?

え?まさかリナリー?うそっ!?ミランダ?
ジェリー…はないか…。
金髪って言ってたしなぁ…。えっ…てかユウ…金髪の彼女いたの?


うちの教壇で金髪………ユウと仲がいい…。



まさか…



バク…支部長?



いやいやいや
えー
いやいやいや



いや待てよ…


ユウを簡単に黙らせるっていったら…リーバー班長っ!?


リボン結ぶとこねぇし




…ふと気になって神田を見たらこの世の者とは思えぬ程


不気味な笑みを窓ガラスに映していた。


(あれはきっと…呪いの道具か何かに使うんだ!!お土産なんかじゃないっ!!)



ラビは勝手に纏めた。


だが、その数日後このリボンを付けている相手を見てラビは絶句するのだった。



〜つづく…のか?
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