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□angel is better than wine
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アヤナミは牢屋に入ってくる。
鍵を持っているのは彼しかいない。
「――ッ」
「ほう…この状態でまだ刃向かうと?」
「当たり前だろ…ッ」
アヤナミは腰からサーベルを引く。
殺されるのだろうと予測したテイトは、思わず目を瞑る。
しかしアヤナミはただ剣の端をテイトの頬に寄せただけだった。
「……え…」
殺されるわけでもないとわかったテイトは、恐る恐る目を開ける。
アヤナミは剣の端をテイトに向けてゆっくりと寄せる。
テイトの頬はついに切れて鮮血が流れる。
そんな痛みなら全く平気であるテイトは、何も言わずにアヤナミを見つめる。
「……ッ」
アヤナミは剣を投げ捨て、テイトの前にしゃがみ込む。後ずさろうとしても、アヤナミが掴んでいるから無理だった。
アヤナミはテイトの首筋に噛みつく。
不意打ちだった所為もあり、テイトがピクリと反応すればアヤナミは更に力を強める。
その自分の歯形に満足したアヤナミは、自分の残したテイトの頬の傷を舐める。
「――離し…ッ」
身体の奥から湧き上がってくる。今までに感じたことのない感覚がテイトを襲う。
「離せよっ」
自分が何をされたのかを察したテイトは、アヤナミの広い肩を押す。
が、そんな抵抗皆無で、アヤナミはテイトの腰を再び掴む。
「何すんだよ…っ…止め――」
自分に抗う言葉ばかりを紡ぐその唇を、アヤナミは己のそれで塞ぐ。
「ん…ッ」
「お前の血は美味だな。」