企画

□生きたお人形
1ページ/2ページ




「テイト君」
「……」
「ねぇ、こっち向いて」

テイトが渋々顔を上げると、狂気的に、且つ愉しそうに笑う瞳と目が合った。

「テイト君、何か欲しいものとかないの?」

子供をあやすような口調でテイトに問うヒュウガ。だが、全てが揃ったこの場所で臨むものなどはない。

「……その質問、さ」
「ん?」
「来る度に言ってるけど……
何も、欲しいものなんて…ないから。」

テイトは言い終わると溜息をついた。求めるもの?欲しいもの?そんなもの、一つだけだ。

「嘘だよね。欲しいもの、あるよね」
「………っ」

テイトは唇を噛む。
ヒュウガはテイトの悔しそうな表情に満足したのか、口角を上げた。

「ま」

ヒュウガはテイトの居る“籠”にゆっくりと歩み寄る。ヒュウガの足音がやけに大きく聞こえた。

「テイト君はいい子だね」
「何処が」
「本当は」
「…」


「逢いたいんでしょ。斬魂に。」

テイトは不愉快そうに目を閉じた。

「テイト君の我が儘ならきいてあげるよ」

ヒュウガはテイトの頬を手の平で撫でてから、髪を梳いた。

「ん…」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ