企画
□生きたお人形
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「テイト君」
「……」
「ねぇ、こっち向いて」
テイトが渋々顔を上げると、狂気的に、且つ愉しそうに笑う瞳と目が合った。
「テイト君、何か欲しいものとかないの?」
子供をあやすような口調でテイトに問うヒュウガ。だが、全てが揃ったこの場所で臨むものなどはない。
「……その質問、さ」
「ん?」
「来る度に言ってるけど……
何も、欲しいものなんて…ないから。」
テイトは言い終わると溜息をついた。求めるもの?欲しいもの?そんなもの、一つだけだ。
「嘘だよね。欲しいもの、あるよね」
「………っ」
テイトは唇を噛む。
ヒュウガはテイトの悔しそうな表情に満足したのか、口角を上げた。
「ま」
ヒュウガはテイトの居る“籠”にゆっくりと歩み寄る。ヒュウガの足音がやけに大きく聞こえた。
「テイト君はいい子だね」
「何処が」
「本当は」
「…」
「逢いたいんでしょ。斬魂に。」
テイトは不愉快そうに目を閉じた。
「テイト君の我が儘ならきいてあげるよ」
ヒュウガはテイトの頬を手の平で撫でてから、髪を梳いた。
「ん…」