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□番外編
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約1年前




深夜。


ガチャリとテイトの部屋の扉が開く。

勉強をしていたテイトは、自分の部屋に訪れる人間は限られているので振り向かない。


「テイト、良いことを教えてやろう。」

「良いことぉ?」

いつも通りの低い声で告げられる。
扉を開けた人間・・・・アヤナミは後ろ手に
扉を閉めた。
そんなアヤナミにハァ、とテイトは溜息をつき、右手に持っていたペンをノートの上に置いた。

「何なんだよ。休み期間中なんだから勝手にさせてくれ。」



そう、今は夏休みで・・・


学生にとって夏休みは待ちに待ったモノで・・・
しかしテイトにとっては絶対的に嫌なモノだったのだ。

寮から離れ、皆自宅で過ごすのだから・・・


幼い頃に両親を亡くし、名家だった家も潰れた為、兄と二人で親族に頼りながら生きてきたのだ。

実力だけで入れるバルスブルグ学園に入学したが、潰れた名家であるため、成績をキープしていなければならない。

夏休み前の定期テストの点数も何時も通り学年トップ、しかし、気を抜けば順位が落ちてしまう。


(なのに)

後ろで平然と立っている男・・・アヤナミは自分のように深夜まで勉強をするなどはしない。天才、というべきだろうか。

ハァ、とまたテイトは溜息をつく。


そんなことを考えていたら、ぎゅっと後ろから抱き締められる。

「っ!?な、なにすん、だっよっ」

「良いことを教えてやると言っているだろう。」

そう言うとアヤナミはテイトの片方の耳を口に含む。
唇で挟みながら歯をたて、ざらついた舌で耳のラインをなぞる。
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