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□心中
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テイトとオウカは仲良くなった。女中たちの言う通り、歳が近かったせいもあるだろう。
テイトが遊女になった理由について、オウカが深く感動したからである。
「私の家は小さいから…遊女になればそれなりにお金を家に渡せるかな……って思ったの。
まあ、皆反対したけど、結局なったんだ。」
「それから………兄上に気に入られたのか…」
オウカの部屋とテイトに設けられた部屋は確かに近かった。
だから片方の部屋で他愛もないお喋りをする、という生活が多くなったのだ。
「うん…遊女になって1週間もたたなかったかな。近くをお通りになられた時に目があって……」
「そうか…」
オウカは、遊女なんて汚らしい者しかいないと思っていたが、テイトのように家のためにやむを得ない者もいるのか、と認識を改めた。「想い人などは……いなかったのか?」
オウカは一番の疑問をテイトに問う。
テイトは一瞬躊躇ったが、言葉を紡いだ。
「…想い人……か………うん。居た………居たよ…でも……」
「………家のために───嫁いだのか?」
テイトは力無く首を縦に動かし、そのまま俯いた。
「……でも、良いんだ」
テイトはやがて顔をあげた。
そして、にっこりと微笑みながらオウカに言う。
「だって、オウカがこの家に居るでしょ。だから……良い。」
「テイト……」
オウカはテイトの言葉にフッと笑い、テイトを抱きしめた。
「ちょ……オウカー!」
「……………そういえば」
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