long

□心中
3ページ/11ページ





テイトとオウカは仲良くなった。女中たちの言う通り、歳が近かったせいもあるだろう。

テイトが遊女になった理由について、オウカが深く感動したからである。

「私の家は小さいから…遊女になればそれなりにお金を家に渡せるかな……って思ったの。
まあ、皆反対したけど、結局なったんだ。」

「それから………兄上に気に入られたのか…」

オウカの部屋とテイトに設けられた部屋は確かに近かった。
だから片方の部屋で他愛もないお喋りをする、という生活が多くなったのだ。

「うん…遊女になって1週間もたたなかったかな。近くをお通りになられた時に目があって……」

「そうか…」

オウカは、遊女なんて汚らしい者しかいないと思っていたが、テイトのように家のためにやむを得ない者もいるのか、と認識を改めた。「想い人などは……いなかったのか?」

オウカは一番の疑問をテイトに問う。
テイトは一瞬躊躇ったが、言葉を紡いだ。

「…想い人……か………うん。居た………居たよ…でも……」
「………家のために───嫁いだのか?」

テイトは力無く首を縦に動かし、そのまま俯いた。

「……でも、良いんだ」

テイトはやがて顔をあげた。
そして、にっこりと微笑みながらオウカに言う。

「だって、オウカがこの家に居るでしょ。だから……良い。」
「テイト……」

オウカはテイトの言葉にフッと笑い、テイトを抱きしめた。

「ちょ……オウカー!」

「……………そういえば」




.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ