宝石箱

□cocktail is a cassis orange
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立ち寄った酒場に必ずいる




「あっベジータ!!こっちおいでよ〜」




手招きされても、なお無視をして、目に留まった空いているテーブルに座った




「ベジータってば〜!!遠征の帰り?こっちに来て一緒に飲もうよ?」




警戒心もなく、俺の肩に乗せられた細い腕




「ベジータちゃ〜ん?」


「気安く呼ぶな」



払いのけても食い下がるような女じゃない事は知っている




「じゃあ、何て呼べばいいの?」




クスクス笑いながら、更に俺の肩に乗せられた酒で赤く色づいた頬




「美味しいお酒…教えてあげよっか?」




この至近距離で俺の頬を突いてきやがる…





「身分をわきまえろ」


「え〜だってベジータは王子様かもしれないけど、私の方が年上だよ…?」


「下級戦士の分際で…」


「そんな堅い事言わないの〜お酒は楽しく飲むものなんだから〜」




わざとなのか…
酔っているからなのか…
それとも、俺を男として見ていないのか…




「はいっ」




既に飲んでいたグラスを差し出された




「美味しいよ?」


「いらん」


「なんで〜?普通のお酒より飲みやすいよ?」




いつまでも年下扱いしやがって…!!




「美味しいのになぁ…ベジータちゃんでも飲めると思うんだけど…」




そう呟きながら、口にした梨杏の飲み干したグラスが離れた瞬間




ガシャーンッ




「…ベ……ータ……」




床に落ちたグラス




「顔が赤いのは酒のせいか?それとも…」




触れるほどに近付けた唇




「…俺のせいか?」




俺を捕らえて離さない、逸らされる事のない真っ直ぐな瞳




「…おかわりしてくれるんでしょうね…?」




どちらからともなく重なる唇




「…やっぱり…好き…」




絡まる隙間から零れた愛の言葉




「ようやく貴様にも俺の魅力に気付…」


「カシスオレンジ!!」


「……………は?」


「果実入りだからサイコー!!」


「…この酔っ払いが…」




明日、あいつは覚えているのか…いないのか…




「おかわり〜ベジータちゃんっ♪」


「その呼び方は止めろ!!!」



それでも俺はきっとまた…




「照れちゃってかーわいー♪」


「う、うるさい黙れ!!俺は帰る!!二度と来るか!!」




明日もこの下級戦士共の大衆酒場に立ち寄ってしまうだろう…















お礼☆→


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