続き物
□sweet valentine3〜お口直しはゲームの後で〜
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今年も廻り来る、男女の愛を誓い合うこの日。
「ジャジャーン!」
「何がそんなにめでたい?」
ニコニコと浮かべる、満面の笑みに吐息混じりに呟いた言葉。
「今年のバレンタインはねぇ・・」
目の前に差し出されたのは愛の証のチョコレート・・。
どれほどシンプルな形でも、今日という日の事実を胸を張って主張していた。
皿には一見、何の変哲もない同じサイズのチョコレートが並び、甘い香りを放っている。
楽しくてたまらないといった声が、弾むように答えを返してきた。
「この中に一つだけ、とってもおいしいチョコがありま〜す!残りのチョコは身の毛もよだつ、悲惨な味のチョコ!果たしてベジータさんは見事、私の熱〜い愛を口にすることが出来るでしょうか〜?」
「全く貴様はいつも下らんことを・・・俺はやらんぞ」
「え〜!?せっかく作ったのに〜!」
「貴様の幼稚な遊びにいちいち付き合ってられるか!大体何だってこんなこと思い付くんだ?」
「だって、普通に食べたってつまらないでしょ?」
あっけらかんとした返答は、一切の下心を含まないそれに首を擡げる。
「ハズレは一つだけなのに・・ふーん・・ベジータ、自信ないんだ?」
「チッ・・・この中の一つでも食えば、貴様は満足なんだな?」
「ベジータの好きなの選んでね」
「当然、褒美はあるんだろうな」
「へ?ごほうび??」
思いがけない問に表情が固まる。
「えっと・・それは」
伝わってくる動揺に、内心の愉悦を口元に貼り付けるとにじり寄る。
「考えてないのか」
「だって、そんな上手く運ぶ訳ない・・じゃない?」
そして、にんまりと笑みを浮かべて、続ける言葉。
「最後まで逃れることが出来たなら、俺の言うことを聞くっていうので手を打ってやる」
「え〜っ!そ、それはちょっと・・」
「自信がないのか?考えてみろ・・どっちが有利かなんてガキでも分かるぞ」
「そうだけど・・」
ぶつぶつ唱える陥落寸前なのは火を見るより明らかで、あとは強引に畳み掛けるだけ・・。
「貴様に付き合う義理ははない・・何なら辞めてもいいんだぞ?」
「それはイヤ」
「賭けは成立だな」
チョコレートを挟んでの駆け引きは、軍配が上がった。
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