その他(過去拍手・献上品・頂き物)
□迷子救出作戦
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「どうしよう」
いや違う、私は悪くないんだ。
ただちょっとエネルの福耳野郎がリンゴをくれなくてムカついたから近くにあったバナナの皮をやつの顔面に投げつけただけなんだ。そしたらあいつ怒って雷バンバン飛ばしてくるから必死で逃げただけなんだよ。
うん、私悪くないよね。
だってエネルが最初から私にリンゴをあげればこんなことには ならなかったんだもん。そう、こんなこと、には。
「ま…迷った…だと…!」
そうなんです私現在迷子の子猫ちゃん状態なんです。一応神官の一人のくせに、なんて思わないで。アッパーヤードをナメたらいかんぞチミたち。言っとくがめちゃくちゃ広いんだからな!
しかも雲の上と違って地面だから足の裏痛いし汚れるし、そのまま逃げてきたから武器も食べ物も何も持ってないし。何だよこれ、至れり尽くせりかコノヤロウ。いや踏んだり蹴ったりかバカヤロウ。
とにかくお腹はすいたし足は痛いし疲れたしもう日が暮れて怖いしで泣きそうになりながらもこの神聖な地をさ迷っていたわけなんです。
「うー…ここどこだよー、誰かいないのかよー、怖いよー」
ぐすん、垂れてきた鼻を啜ってまた足を動かす。いや、別に泣いてなんかいないさ!だって私強い子だから泣かないわよ迷子になったくらいで!ふふん、とどや顔をしてみたところでここには私しかいないわけで。トホホと目に汗が滲んできた(意地でも泣いてるなんて言うもんか)
汗(涙)をゴシゴシと拭っていると、ふと近くの茂みがガサリと鳴った。
「ひぃっ!」
思わず悲鳴を上げてのけぞる。よく見ると未だにその茂みはガサガサと蠢いていた。
「や、やだ…何何何…!?」
ただでさえ日が暮れて暗い中で茂みがガサガサ言うなんて怖すぎる…!はっ!そう言えばここってデッカいウワバミがいたような…うわぁぁやめてやめて私蛇とか無理なんだって!!
恐怖で足が竦む。身体が震えてくる。一神官が情けないなんて思わないでくれ。神官である前に私はか弱い女の子なんだぞ!
さっきまで泣くもんかと豪語していたのはどこに行ったのやら、じわじわと涙で前が見えなくなってくる。逃げようと思っても足は思うように動かないし頭はパニックで真っ白になっちゃってるし。
最後の抵抗でギュウッと目をつぶった。