ターゲットは君
□怒
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この数日でわかったけど、颯は過保護だ。
まめにメール送ってくるし、今だって果物買いに行くだけなのに心配するし。
でもゴメン。
今日はまっすぐ帰る気さらさらないんだ。
スーパーにはちゃんと寄るんだけどね、米花町も探検してみたいわけなんですよ。
買い物に行ったのなんて初日以来だし、私からすれば雑貨屋だったり、本屋だったり見て行きたいわけさ。
だから、ね。
ゴメンね、颯。
なるべく早く帰るから。
まあそんなにブラつくわけでもないし、とりあえず今日の目的は買い物でなくて本屋がメインだったりする。
読書好き(小説だってちゃんと読んでるんです)の私にとって何の本があるのかとても気になるわけで。
もちろん、新一の父君である工藤優作さんの闇の男爵(ナイトバロン)シリーズもコナンファンである私からしたら読んでみたい作品でもある。
なんとか書店を見つけ中に入ってみると、あるわあるわ闇の男爵のコーナーが。書店定番のポップには
【一度読み始めたら止まらない。あの闇の男爵の最新作】
シリーズで人気があるからか、凄い力の入れよう。
やはり読んでみる価値はあるのだろう。
試しに1巻の冒頭部分を読み始めてみた。
うん、凄く面白い。
表現の仕方が他の作家さんと明らかに違う。
*****
「あれ、苗字?」
『工藤くん?』
え、なんで?なんで新一がここにいるの?
「どうしたんだ?突っ立って」
『ん?えーと、ちょっとね。何か本が欲しくて物色してたんだ……っていうか部活は?』
「部活?…おいおい、もうとっくに終わってるぜ」
『え?』
ふと時計を見ると時刻は7時を余裕で回っている
『ウソっ!!』
携帯を見ると着信履歴が颯で埋め尽くされている。
やばい…いくらなんでもスーパーだけでこんなに時間はかからないよな。
「どうしたんだ?」
『どうもしてなくないんだけど…工藤くんゴメン、私帰るね』
「なんだ?」
とりあえずスーパーでりんごを買い、家に戻る。
『た、ただいま』
「………」
ギャー、颯が玄関で腕を組んで立っていらっしゃる。
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