ターゲットは君

□本
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「じゃあ名前、行ってくるな。何度も言うようだけど、戸締まりだけはしっかりしてくれよ。………でもなぁ、名前を一人にはしたくないし(何より俺が離れたくない)やっぱり仕事休むか…」


そう言う颯を無理矢理たたき出して、仕事に向かわせてから1日がたった。
昨日は特にやることもなく、何かする気分ではなかったので、和葉ちゃんと平次から来るメールの返事を返しながらぐうたらとテレビを見て過ごしただけ。あの二人は昨日大阪へ帰ったらしい。まあ二人とも学生だし帰るのは当たり前か…
そして今日からまた、学校が始まる。

また学校が始まる、と言っても前と違うことがただ一つだけある。それは今日から条件付きで、私が新一にお弁当を作ること。



二人分のお弁当を作ることには苦はないんだけど、荷物が重いのが難点。
それに今日使う教科書も入ってるから余計に重く感じる。
学生って大変なんだなー。つい最近まで忘れていた授業の忙しさと荷物の重さにこれから先やっていけるのか、という不安が私を襲う。中高生の頃と大学に入ってからと同じ学生なのにかなりの若さの差を感じるし…



私が教室に入るときには、後ろの席である工藤新一が既に着席していた。



先に来ていた他の友達に軽く挨拶をして、新一にも声をかける。



『おはよう、新一』


「おう」


新一の方に顔を向けて朝の挨拶をすれば、短い返事が返ってくる。なんとも新一らしい返事だと思う。

そんな新一に私は今朝頑張って作ったお弁当を手渡す。
手渡すと言っても周りにバレないように紙袋に入れて持ってきたからそこまで目立ちはしないだろう。


一瞬新一は目を見開き驚いた表情をするが、次第に顔がニコニコと笑みをこぼし始めた。


「サンキュ」


"無理矢理押し付けちまったし、休みを挟んだから忘れてると思った。"と続けて新一は話した。

無理矢理って、わかってたんだ。でも、頼んだのは新一でしょ?いくらなんでも新一との約束は破れないって…それに蘭(+α)にバレないようにっていろいろと工夫したんだしね。





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