光と色とそよ風と
□Lesson.3
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‥―時を遡ること数時間前―‥
「フム、このチェック柄といい、フォルムといい。この自由の女神を作らせた俺の美的センスは格別だな。」
俺はいつものように、コレクションを磨いていた。
「ツバサー、またソレ磨いてるんの?それよりもゴロちゃんポペラ暑いんだけどー。これ本当にクーラーついてるのー?」
「あー、確かに。今日はめちゃくちゃ暑いよなぁ。トゲーも暑そうだし…なんか、バテてんぞ」
「クケー‥」
椅子には悟郎、一、瞬が座り、ソファーには瑞希が寝ている。
清春は隅で何か企んでいるようだ。
「確かに、暑いな。天気予報では今日は今年一番の猛暑だと言っていたぞ。小まめに水分を取らないと熱中症になってしまうらしい。」
「んなに暑くて水がほしいっつーなら…キシシ、バキューン!」
「ぶ、仙道!…室内で水鉄砲をやるんじゃない!」
「バキューン!バキューン!!」
「ぶ!!仙道、今日こそは殺す!!!今すぐ殺す!!!!」
「キシシ、出来るもんならやってみナァ」
「あー、また始まったよ。おい二人とも、俺らにまで被害が出るからいい加減やめろよなー。そして瑞希、お前はいつまで寝てるんだ。」
「グー…‥」
ふむ。今日もバカサイユは賑やかだな。
「もう、ミズキってばよくこんなに暑い中寝れるよねー。ブー、……そだ。エアコンの設定温度下げればいいんだよね!リモコンリモコン…あった!!!」
そう、俺達はいつも通り、バカサイユで寛いでいた。
清春と瞬は相変わらず走り回り、瑞希は昼寝、一と悟郎は…そういえば、この二人はいつも決まったことはしていなかったな。
まぁ、いい。
ただいつもと違うことは、
「ゲ…なにコレ、エアコン起動すらしてないじゃない。ポペッとな。」
「仙道待て!!」
「キシシ、ヒャーハッハッハッ!!俺様特製ウォーターバズーカくらえっ」
― ガチャン ―
ガチャン?
― ガタガタガタガタガタガタ ―
「なななんだ!?何か変な音が聞こえるぞ!永田っ!!一体なにが起きているっ」
「仙道様の特製バズーカが先ほど風門寺様が起動させた元々壊れていたエアコンに見事に命中し、悪化したようでございます。」
ただ違うことは、そのエアコンが壊れていたというくらいか。
「ぇぇえええ!!エアコン壊れてたの?!」
「ああ、今朝から調子が悪くてな。真壁財閥特製のエアコンを発注していたんだが…永田。」
「はい。ですが翼様が特別機能をつけたいとおっしゃられていましたので、午後設置予定でおりました。」
そういえば…そうだったな。今度は呼んだら直ぐに来るよう永田に伝える必要があるな。
「お、おい…翼。コレまずくないか?エアコンからなんかたくさん湯気出てるぞ」
「爆発…するかも?」
「うお!マダラが久しぶりに喋ったぞ。」
「そんなことよりも、とりあえずここから離れたほうが良さそうだぜ。」
「よし、全員でバカサイユを出るぞ」
◇◆◇◆◇
「…とまあ、全員でバカサイユを出たのはいいが」
「オレッサマがナナを落とすために仕掛けた落とし穴に全員でひっかかっちまった。ったく、バカサイユの目の前に作るんじゃなかったぜ。」
「やはり仙道!こんなことになったのもお前のせいだったのか!!なんということだ…今日は夕方からタイムセールがあったというのに」
「瞬、俺達今それどころじゃないからな。それよりも今のほうが大事だからな。」
「で、だ。穴から落ちたはず俺達はき…」
「気づいたらこの部屋でポペッと重なっていたんだよねー」
「ぐー…」
「ゴホンッ……というわけだ。女、理解できたか?」
『…………』
俺達の目の前に現れた女に一通り説明をした。俺達が理解出来ていないことをこの女が理解しているとは到底思えないが、俺達が今の状況を把握するには話さずにはいられなかった。
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