光と色とそよ風と
□Lesson.4
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彼等の話を聞いてわかったこと。それはやはり、彼等がVitaminXのキャラクターであり、バカサイユからこちらへトリップしてしまったということだった。
きっといろいろな偶然が重なりこちらへ来てしまったということなんだろうが…この状況を彼等にどう説明すればいいのだろう。
まずはこちらと彼等のいた世界が異なっているということから説明しなければならない。
『…なんとなく話はわかりました。話が長くなりそうなんで、とりあえずここで話をするのではなくて、別の部屋に行きましょう』
ずっと私の部屋に居られるのも恥ずかしいので、自室よりも広いリビングへと彼等を案内する。
それに、私の部屋にあるであろうCDやらゲームやら見られたら、彼らがどんな反応するか…………考えたくもない。
私のベッドの上で寝てしまっている瑞希と思われる彼は起きる様子がないので、仕方なくそのままにしておく。
◇◆◇◆◇
冷蔵庫から冷え冷えの麦茶を人数分のコップにいれ、目の前に出す。
まずは何から話せばいいのだろう。皆の視線が私へと向けられる。き、気まずい…
『えーっと、まず私の名前から…私は苗字名前。高校2年生。』
「高校2年、ということは、俺達と同じ歳だな。」
マジか。
悠里ちゃんが来る前なのか…
なんか皆荒れてそうで嫌だな……
ますます部屋にあるものを見られたらダメだ。後で隠すしかないな、と心の中で誓う。
『皆さんが言うには、今まで聖帝学園という学校内のバカサイユという場所にいて、穴に落ちたら私の部屋だった…っていうことですよね?』
「「「「「ああ(うん)」」」」」
『私の家は、誰も居なかったし、鍵もちゃんとかけて外出した。もちろん鍵なんて複数持ち歩くはずなんてないし、穴に落ちた皆さんを運ぶなんてことも女子高生の私にとって出来ないことはわかりますよね?』
だから私が連れてきたということはまず有り得ないことを遠回しにアピール。
「じゃあ、なんで俺らはここにいるんだ?」
『それは私にもわかりません。私のきっかけは壊れたエアコンに拍車をかけて水をかけてしまったからなのか、落とし穴に皆さんで落ちてしまったからなのか、もしかしたら二つが原因で来てしまったのかもしれない。』
B6だけど誰かしら理解してくれることを祈る。
『実は私、貴方達の事少し知っているんです。…といっても確信したのは真壁君の名前を聞いたからなんですけど』
「どういう事だ?」
『一部の人からは、貴方達は有名人ってことですかね。』
「ハァーハッハッハッ!それはそうだろう。俺は真壁財閥の時期当主だぞ!!」
『いや、そっちの意味で有名なんじゃないんだけど…まぁ、いっか』
翼の性格はゲームで判ってはいたけど、改めて見ると凄いな。普通に引くよ?
『うーんと、ぶっちゃけるとね……皆さんのことがこっちではゲームになっているんですよ。』
多分、ゲームの存在を教えなければここが違う場所っていうことを私は説明出来ない。
所詮、高校2年生の知恵だ。これくらいは許してほしい。
「「「「「…………………」」」」」
まぁそんな反応になるよね。
わかっていたさ。
『だから一部の人からは有名なんです。』
「ゲームってアレだよな?画面を見ながらねこにゃんを育てるっていう…」
一らしいゲームだな…
『まぁ、そんなとこですかね?』
「ゴロちゃんゲームになってるの!?可愛い?ゴロちゃん可愛い??」
『可愛い、けど実物の方が可愛いと思いますよ』
「ホント?名前ちゃんもゴロちゃんには負けるけど凄く可愛いよ」
うん、ゴロちゃんには負けるよ。私なんて、普通の女子高生だもん。
「ナナがゲームゥ?ぜっ………てーやりたくねェ」
「同感だな。仙道の出ているゲームなんて、こちらから願い下げだ。」
「ほう。この俺がゲームとはな…で?どういうゲームなんだ?」
変なところで、的確な質問が返ってくる。でもそれは言えない。彼等に過去を知ってることとかこれから出会うであろう悠里ちゃんのことは絶対に言ってはダメだ。
『すみません。それは私の秘密…ってことで勘弁してください。でもその他のことなら出来るかぎりお手伝いしますんで……あ、でも真壁くんみたいにお金持ちってわけではないので、手伝うにも限度がありますけど。』
「永田、今までの話を聞いてどう思う?」
「そうですね…。とりあえず、苗字様が言うように別次元であるということも、ここに来てしまった経緯を考えればなくもない話だと思います。なので、原因が解明されるまでお世話になってみてはどうでしょうか?」
な、永田さん!
永田さんいい人!!
永田さんやっぱり大好きだ!!!
ドラマCD聞いて、腹黒いとか思ってすみませんでした、と心の中で謝らせてください。
「苗字様なにか…おっしゃられました?」
『い、いえ。なんでもない…デス。』
やっぱり永田さんは腹黒そうでした。