光と色とそよ風と
□Lesson.7
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『ただいまー』
留守番メンバーが部屋で固まっていた数分後。
私はしゅ…七瀬くん(ゲームの時みたいに名前呼びをしていたら、実際に呼び捨ててしまいそうなので今から練習中なのです。)と買い物から帰ってきた。
買ってきた物を預かり、一人冷蔵庫にしまっていると、しゅ…七瀬くんがこちらにやって来た。
「苗字。他の奴らがリビングにいないぞ。」
『え?』
「他の部屋を見てまわろうかと思ったが、世話になるとはいえ、人様の家だ。流石に勝手に見に行くことは失礼になる。」
流石七瀬くん。礼儀が素晴らしい。
それにしても、何でみんないないんだろ………ってまさか!!
「おいっ、苗字?!」
七瀬くんの声もムシして、私は一目散に自室へと向かった。
あそこにはまだ一人気持ち良さそうに寝ていた人物がいたではないか。
その様子を見に行った他メンバー、もしくは目覚めてしまったミズ…斑目くんが私の部屋を漁ってしまっていたら…
隠すのは後でにしようと思ったんだけど、ヤバいヤバいヤバい
◇◆◇◆◇
「これがアイツの言っていたゲームか?」
「でもこれ、CDみたいだぞ?」
「プレイヤーから皆の声も聞こえたしねー」
…ヤバい。時既に遅し。
部屋の中から声が聞こえる。
そうだよ。そうだったよ。昨日新発売のVitaminXのドラマCDを買って、昨日から聞いていたんだった。
もうみんな聞いちゃってるじゃん!
ゲームになっているって説明したけどさ、説明したけれども、なるべくだったら出会わせないようにしようと思ったのに…
「苗字。台所を出るならきちんと買ったものを全て冷蔵庫に閉まってからに……どうかしたのか?」
姑のように小言を言いながら少し遅れて七瀬くんがやって来た。
「ん?あ、名前ちゃんだー。おかえりー」
七瀬くんの声が聞こえたのか、扉を開けて顔を出した風門寺くん。
『た、ただいま。』
部屋を覗くとほぼ先ほどと同じような光景が目の前に広がる。
今の状況がイマイチ掴めていないのはたぶん起きたばかりの斑目くんと一緒に買い物から帰ってきた七瀬くん。あ、でも斑目くんは頭がいいから把握くらいできるか。…というか、私がいない間みんなで説明してくれているだろう。
「ねーねー、名前ちゃん、コレ何?ゴロちゃん達が喋ってたんだけど」
部屋に入った瞬間、風門寺くんからの鋭い質問。
やっぱりCDを聞いてしまったのか……
CDプレイヤーと昨日買ったばかりのCDジャケットを出して聞いてくる風門寺くん。
「な、なんだコレは!?俺はこんなCD出していないぞっ」
『七瀬くん今から話せる所まで説明するよ。』
あぁ、嫌だなぁ…
私説明とか苦手なんだよね。
………と、その前に
『みんなどこまで聞いたの?』
「どこって言われてもなぁ…実はCDで話している俺らの声とここで話している俺らの声で何言っているのかわからなくなっちまって…」
「途中で止めちまったんだよなァ。オレ様はもう少し聞いていたかったんだけどー」
そっか。なら大丈夫かな?
私も最初だけ聞いたけど、悠里ちゃんの話し出てこなかったし…
『…さっき皆がゲームなっているって話したよね?それが人気でCDにもなったんだよ。これ以上は皆のためにも、何も言えないし、見せられません。』
説明…って言ったけど、最初のほうしか聞いてないならこれくらい簡単でいいよね?
「チッ。つーまんねぇなァ…はぁーあ」
本当につまらなそうに、欠伸をする仙道くん(うわ、違和感)
「クケー」
苗字呼びも大変だなと改めて実感しているところに、聞き慣れた…それでいて凄く可愛い鳴き声が聞こえた。
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