ワケあり Extra 6

□秋の到来? お久し振りです
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この夏は前半猛暑でげんなりしたものの、
8月に入るといきなり前倒しの秋の長雨が割り込むという、何だか奇天烈な盛夏となり。
五輪と高校野球というスポーツの祭典それぞれへ、極端な関わりようをしたことも印象深い。

「そうだったよネ。
 高校野球、順延とかノーゲームとか続いたものねぇ。」
「丁度雨続きのところに重なっちゃったからねぇ。」

高校総体はかろうじて開催がかなったけれど、
入場制限があったし、テレビでの全国中継もほとんどされなかったような。
東京五輪は途轍もない酷暑の中で開催され、
その後のパラリンピックは雨後になったせいかまだちょっとは何とかなった…ような気がする。
そうこうするうち暦は秋へ移行したものの、今度は何故だかいつまでも気温は高いまま。
9月のうちは“残暑ってやつだよね、仕方ないなぁ”なんて笑っていられたが、
早く長袖が着たくなる朝晩の涼しさも訪れないまま翌月に突入。
衣替えした途端に暑くなるのは例年の倣いだが、
カーディガンのお世話にならぬまま、
8月のままかというよな真夏日が続いているというのはちょっと聞かない。
何とかやっと学校や会社の帰りは上着がないと寒い気候になって来て。
カレンダーを見たらば、

「体育祭はもう終わったんですが。」
「ホントよねぇ。」

これもコロナ対策で競技を絞ったお陰様、
女学園のお育ちのいいお嬢様がたが
厳しい残暑にあてられて熱中症でバッタバッタ倒れるような災難はなかったけれど。

「紅バラ様の雄姿が観られなかっただの、ひなげし様のチア・フラッグがないのは酷だだの。」
「ああ、そういう声も聞かれましたかね。」

はためく様は潮風にたなびく帆船の御印のような、
小さなその身が覆えそうな、大きな大きな旗をそれは軽快にぶん回し。
動かすことを思えば腕へかかる荷重は何十キロにもなるだろう、
竿を足したら身の丈以上という大型フラッグを、
ばっさばっさと切れよくさばいて見せる平八の応援演技や、
はたまた、運動神経の塊なのはこういうことにだけ生かしてほしいと保護者の皆様切望の、(笑)
駆けっこ各種やリレーなどなど、各種競技にエントリーしまくりな久蔵の
金髪だけれど“赤い疾風”と化すお姉さま、(笑)
一体誰が追い抜けましょうかというレベル、
ぶっちぎりでゴールインしまくりの連勝快勝ぶりが観られなかったのが残念しきりと、
在校生の皆様から嘆きのもとになっており。
そこを“惜しいことでしたねぇ”と持ち出した七郎次の澄まし顔へ、

 「白百合様の韋駄天ぶりも評判ですのに?」
 「式次第のアナウンスも。」
 「…う。////////」

他人ごとみたいに言ってるけれど、白百合さんだとて人気者なのだ、
どれほど惜しまれているか判ってる?と、
畳みかけられてしまい。
イヤイヤイヤと真っ赤になってるから世話はない。
陽あたりのいい乾いた芝草の上へ直に座り、
すんなり伸ばした御々脚の中ほど、お膝の上あたりにお弁当箱を開いての、
ランチタイムを楽しんでおられた、
当女学園の誉れ、それは麗しき三華様がた。
所作も品よく、それぞれに見合った意匠のお弁当箱へお箸を操っていられたが、
会話は可愛らしい褒め殺し合いで、(可愛い…?) 笑
もうもうや〜んと、お互いを上げては言いすぎだよぉと叩く真似をしたりして。
それは高貴で人性清らかなお姉さま方ということになっているけれど、
なんの、お歳に見合ったはしゃぎよう、
箸が転んでも可笑しいというのを地でご披露しているばかり。

 「いやいや、これでもちょっとは取り繕ってもいるのですよ?」
 「そうそう。だって中身は…ですもの。」

何を仰せか、今の生を立派な女子として育ってこられた素地は変わらぬ。
たとい、前世のお侍様としての記憶があろうとも、
今の今は、皆様、恋するヲトメじゃああ〜りませんか。

 「それ持って来ますぅ?」
 「やだもう、もーりんさんたら。/////////」

キャ〜んと頬を染めたひなげしさんや白百合さんはともかく、

 「〜〜〜〜。//////////」
 「久蔵殿、照れつつもお箸を逆手に握り直すのはおやめなさい。」
 「塗り箸でもなんか深々刺さりそうに見えるから辞めたげて。」

おお、何か過激だ。
え?もーりんを狙ってた? ひょえ〜〜。

 相変わらずなお茶らかしはともかく。

「学園祭も、入場制限付きになりそうですってよ。」

11月の文化の日を挟む格好で開催される文化祭。
模擬店や寸劇などなど、お嬢様たちが結構器用にこなされる出し物の可愛さ目当てか、
もともと在校生の家族やOGしか楽しめない“招待制”のイベントだが、
どういう伝手やコネで手に入れたやらで招待状を手に若い男性筋も結構訪れる。
まあ、警備もしっかりしているし、噂以上の本格的に上流階級の子女が集まる学び舎ゆえ、
此処で何かしらの問題を起こせば、
下手すると一族郎党が今いる地位からの放逐さえ食らいかねない恐ろしい場所でもあって。
遊び半分の冷やかしで来るなんて以ての外、
そっちの覚悟も固めときなさいねと、受付できっちり引導渡されることでも有名で。

「大体、入れるコネっての自体が実はすでに感知されてるからねぇ。」
「そうそう。ただのお遊びとか冷やかしでも、
 素行が怪しい連中は特別な受付へご案内ってなりますし。」

 確か島田もそっちの警護の担当ではなかったか?
 身元探査には手が出せないですが、顔認証からの身元検索には私も加担しておりますよ。
 ヘイさんの情報なら間違いないですしね。

つか…それってもはや鉄壁なのでは。
周辺に向けての索敵用監視カメラも充実させていようし、
それで拾った不審人物の何やかや、
それは恐ろしいレベルのデータベースへスキャンをかけての
何処の誰かを割り出すなんてそれは容易いことかもしれぬ。
もしかして日本最強の防犯システムを管理しているお嬢さんたちだというに、
ついでに、何か起きれば守られる側の令嬢たちでありながら
それぞれに使いこなした得物を引っ提げて、
此処へ押し込むとはいい度胸だと突撃を敢行しそうなお人らでもあり。

 「いえいえ、さすがにそれはないですよぉ。」
 「ホントホント。」
 「……。(頷)」

学園祭の方に全集中しておりますから、なんて、
どこまで本当か、筆者からまで疑われていては世話はない。

 「芋もクリもかぼちゃも最高vv」

昨年、個人でキッチンカーを出したスイートポテトをまた食べたいとのリクエストが多いので、
今年は学園祭にて出店予定なのだとか。
ついでだからと、栗を使ってのモンブランや、
かぼちゃを使ってのパンプキンパイも検討中。

 「硬いから下ごしらえが大変?」

一応はか弱き令嬢たちだのにと、白々しくも話を振れば、

  便利グッズがいろいろ出ているし、
  それ以前に、かぼちゃを丸ごと「据え物斬り」っていう水平斬りで
  5ミリの輪切りにスライスする剛腕娘がいるから問題ないし。

要らんことまで言っちゃったお陰様、

 「…お館様の備前長船持ち出したのは貴様か。」
 「……。(頷)」

後々で首根っこ掴まれてしまい、
ちょっとは懲りろと
紅ばらさんの主治医兼 教育係のお兄さんがこめかみに青条浮かせるのも毎度の話。
どれほどのこと慌ただしく時が流れようとも、
こちらはこちらで相変わらずなお嬢さんたちであるらしいです。




   〜Fine〜  21.10.20.





 *…という話をぼちぼちと書いてたら、
  今度は一気に秋も深まって、木枯らし一号が吹きそうな寒さの到来。
  どんだけ極端なんだ最近の日本。
  昨年はコロナへの警戒が相まってインフルエンザが流行しなかったけど、
  その余波とでもいうものか、
  免疫が薄い状態なので、この冬は大流行しかねないとかどうとかいうお声も聞かれるしね。
  色々と早く落ち着いてほしいもんですが、
  だったらまずは人間がしっかりと対策を守って完全に終息させんといかんのだ。
  判っとるか、緊急事態宣言下に路上飲みしてた馬鹿者たちよ。(此処で言っても始まらないけど…)





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