シリーズ小説

□どうしても君が欲しい
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俺は、悪魔だ。




自分の為に酷い事をしている。

だけど、これ以外にどんな方法があった?

こうする以外に、どうすれば俺を見てくれた?

俺を意識してくれた?








『どういう事だよ、ふざけるな・・。・・なんで・。』

『君は、バカなのかい?もう一回言おうか?』




『好きなんだぞ、アーサー』




驚きに目を見開くアーサー

そして、ドアの隙間

アーサーが背中を向けているドアの隙間から見えた黒髪。菊



見ているのだろう、と思ってアーサーに近づいた。

パタパタ、と音がしてその音が十分遠ざかった時に俺の身体は後ろに押し飛ばされた。


アーサーの手によって。





「お前、何・・っ」

「君の耳は飾り物かい?」



きっと、菊には俺とアーサーがキスしているみたいに見えたんじゃないかな

だって、そう見えるようにしたんだから。
菊がこの廊下を通るころにアーサーを呼びだしたのも

ドアの隙間からちょうど見えるようにしたのも

全部、俺が仕組んだんだから




「もう一回言ってあげるよ。俺は、菊がどうしようもなく好きだ」

「・・・・っ、お前・・」

「だから、菊は俺が貰うよ」



睨みつけてくるアーサーの視線をかわして言葉を続ける。

だって、ここで負けたら菊は絶対手に入らない。




「ちょうだい、なんて言わない。だって菊は君のモノじゃないだろ?」




そう、菊は誰のモノでもない。

だから俺が貰う。

本気で好きだから。

悪魔でも良い。

どうしても欲しいんだ。




「ダメだ!菊は、」

「どうしてだい?君は、菊に断られただろ」

「・・っ。でも・・俺は、本気で菊が好きだ」

「迷惑だ、って言われても?」

「・・・・・・っ」



じわりと、アーサーの目に涙が浮かぶ。


それが俺のイライラをさらに大きくさせる。




「また、君はまた泣くのかい!?」




菊が好きだ。

ずっと前から。

俺を見てほしい。

俺だけを見てほしい。




「フランシスは、俺の事をズルイっていうけど俺からしたら君の方がズルイ!!」



何で君何だ。

どうして。

どうしてなんだい!?



「泣いて菊の心に居続ける君が・・・っ、居続けれる君が!!」

「・・ア、ル・・・」

「泣いて菊が振り向いてくれるなら、俺だって泣きたいっ!!!」




どうしても欲しいんだ。

だって、どうしたって、菊は好きなんだから。

ずっと、ずっと前から。

俺は菊の事を見続けてきたんだから。






ごめんね、菊


俺は、こんなに酷い奴なんだ


だけど、本当に、本気なんだ





どうしても、君が欲しい




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