短編

□一番は貴方!
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それはある日曜日の昼下がりに起こった。






「ひぃっ!!!!!!」

「どうしたんんだい?」

「菊?何かあったのか?」





その日はアルフレッドとアーサーが示し合わせたかのように
一緒に訪問してきて、ちょうど今はお昼ご飯を終えたところだった。


家の主、菊は食器を洗い終わったところで、ある一点を見つめたまま固まってしまったのだ。


小さな菊の悲鳴を聞きつけ台所へ顔を覗かすアルフレッドとアーサーは

不思議そうに目を合わせて首をかしげる。




「菊?大丈夫かい?」

「ア・・アル、フレッドさん・・アーサー、さん・・」




ギギギ、とでも音がしそうな雰囲気で2人の方を振り返る菊の顔は真っ青になっていた。

こころなしか目も潤んでいる気がする。

それを見てアルフレッドとアーサーはただ事ではないと我先に台所へ入ろうとした。




―――かさかさかさ―――


「ひぃぃぃっ!!!た、助けてくださいっ!!!」

「き、菊っ!」





傍にいたアーサーに抱きつく菊。

アーサーは頬を染めながら手を菊の背中にまわそうとした。


それを見たアルフレッドは勿論、アーサーの手を叩き落としたのだが。




「それよりこれは・・ゴk「言わないで!それ以上言わないでくださいっ!!」

「え、あ・・ごめん!で、えーっと、Gがどうしたんだい?」

「どうしたじゃないですよ?!お願いですから退治してください!!」



顔を上げた菊の目は今度こそ潤んでいた。

アルフレッドはそう言う事かい!と胸を張って頷いた。


「ヒーローに任せるんだぞ!」そう言って足元にあったスリッパを手にとって

思いっきりGに向けて振りおろそうとした。が
「スリッパはらめぇぇ!!新聞丸めた奴にしてくださいっ!!!」という事で


アルフレッドとアーサーは手に新聞を丸めたやつを持ってGを追いかける。







「アーサー、そっち行ったんだぞ!」

「分かってるよ、っち。すばしいっこいな」

「とぅっ!!全くなんだぞ!!」




全然仕留めれずにいた。







その間にもGは動き回っている。



菊はというと台所と居間の境目にある柱に隠れながら見守っていた。





―――かさかさ、ブーン――

「「あ、」」



飛んだ、まっすぐ菊の隠れている柱めがけて。








「いやぁぁぁあああああ!!!!!!」(泣)









「何の騒ぎあるか?外まで丸聞こえあるよ。って菊?!どうしたあるか?!」



「や、耀さんっ!!!!」

「菊?泣いてるあるか?!・・てめぇらあるか・・美国にアヘン!!」

「違うんだぞ!何もしてないんだぞ!」





―――かさかさ―――

「ひぃ!!」



また菊が悲鳴を上げる。

アルフレッドもアーサーもはっと思いだし、手の新聞を強く握る。



「ん?あぁ、Gあるか?」




こくこく!と全力で頷く菊ににへらぁ、と表情を蕩けさせる耀。

我に任せるよろし、というとアーサーの持っていた新聞紙を取り上げ
目にも止まらぬ速さでそれを振り下ろした。



――パァーン、と気持ちの良い音がなり耀の新聞紙はそれを捕らえた。




「美国、これ片づけとくね!」

「え?あ・・」


「さ、流石です!!にーに!ありがとうございます!!大好きです!!!」


よっぽどGが嫌いなのだろう。

普段は絶対に呼ばない『にーに』呼びで耀に抱きつく菊。

耀は見下したような笑いを作りアルフレッドとアーサーを見た。



自称ヒーローのアルフレッドと自称紳士のアーサーはっぐ、と唇を噛んで耐えるしかなかった。







兄は強し!




END

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