短編

□素直になってみた
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あぁ、どうしましょう。

こんな・・。

違うんです。



これは・・、そう、お祝い事は何でも祝わなければ、という我が国の国民性!


その相手がたまたま、あの方だったわけで・・。


いや、別にあの人の事を真っ先に考えたわけではないですよ?!


他の方も考えましたが、やはり近くに住んでいますしね!


それに他の方は忙しいかもしれませんし!


いえ、決してあの人が暇と言う訳でもないのですが・・ぁぁぁ。



























いつも以上に綺麗に隅々まで掃除された部屋。


そして机の上にある一人分にしては多すぎる、豪華な御馳走。


その前で項垂れているのは、この家の主人である本田菊であった。







「あぁ・・、私のバカ、冷静に考えれば分かった事じゃないですか・・」



お刺身、煮物、天ぷら、御吸物、焼き魚、炊き込みご飯など豊富な料理に

なかなか手に入らないと名高い銘酒が1本、2本・・・。







「あ!そうです!もういっその事、耀さんが来る前に私が食べてしまいましょう!」 




料理のまで肩を落としていた菊は名案だとばかりに手を打った。



そして白い割烹着を外したところで菊、と誰かに名を呼ばれた。





「・・・・・・。」




まさに、ギギギ、とでも音がしそうな動作で声のした後ろを振り返ると


そこには菊が今一番会いたくないであろう人物、耀がにこやかに笑いながら立っていた。







菊は青くなった顔に無理に微笑みを浮かべると、身体を耀の方へ向けた。

普段ならお茶を入れにいったり、相手に座るよう勧めるのだが

・・・・動揺してしまっていてそれどころでは無いみたいだ。





そんな菊の心中を分かっているのか耀はにこやかに笑ったままだ。





「よ、ようこそお出で下さいました。しかし、今日は随分と、お早いおつきですね」





約束した時間までまだ2時間はあるかと、そう菊が言ったところでようやく

耀が口を開いた。それの口調は大変楽しそうで。








「お前の考える事なんて、我はお見通しあるよ」

「あっ、え・・と、それは・・?!」

「でも、にーにとしては嬉しいあるが、恋人としては・・、昨日も呼んで欲しかったあるよ」






ぼんっ、と音でもするんではないか、と言うように一気に耳まで真っ赤になった菊。


そんな菊を見て耀は満足そうに笑うのであった。






「せっかく菊が我の為に作ってくれた料理を冷ますのは、気が引けるある」

「!!・・それは・・、別に・・・」

「ふふ、菊、一緒に食べるあるよ」

「えぇ、・・・にーに」










11月23日は良い兄さんの日





11月22日は、良い夫婦の日







END

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