気付いたら隣に…
□鍛練の途中で
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自慢ではないが、俺は『女』を知っている…と思っていた。
くの一教室に色の授業があるならば、俺達忍たまはその対処法を知らなければならない。
幼い頃からくのたまが忍たまに悪戯を仕掛けるのはその一環で、やがて俺達も学習し騙されなくなっていく。
そしてその頃から、互いに異性として意識し合い、慣れていくようになった。
色の授業の相手役として指名されれば、それに応じてコトに及んだ事もある。
だが抱き上げた彼女の体は、俺の知っているくのたまのそれとは大きく違っていた。
なんだ、この軽さはっ!?
驚愕のあまり、声を出しそうになるのをこらえたが、
ちゃんと食ってんのか!?と問いたくなった。
かと言ってガリガリに痩せている訳ではなく、腕に感じる体は柔らかい。
…柔らかい…。
……柔らか過ぎじゃないか?
何故だか顔に熱が集まった。
「このまま運ぶぞ」
誤魔化すように短く告げて、俺は駆け出した。
他の事をしないと、腕から伝わる感触に意識が向いてしまいそうだったからだ。
くそっ、俺もまだまだ鍛錬が足りん!
どこかに頭を打ちつけたい衝動にかられるがそうもいかない。
俺は、なるべく走る事に集中した。
学園長先生は寝ておられるだろう。
今日の宿直の先生は誰だったか…?
そんな事を考えたが、チラリと彼女の足を見て、
俺は医務室に直行する事にした。
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