・Main・

□坂田さんちの三兄弟
1ページ/1ページ

家族パロ

長男:銀時(高3)
次男:新八(高2)
長女:神楽(高1)








坂田さんちの三兄弟は、毎朝一緒に登校する。
学校への道を猛ダッシュで駆け抜けていくのだ。

「だー!やべぇ!まにあわねぇ!!」
「も、おいて、いってっ」
「馬鹿いうんじゃないネ!諦めたらそこで試合終了アルよ新八ィ!!」

体力が常人を軽く超えるような超人である長男と長女に手を繋がれて走る新八は苦しそうだ。
毎朝毎朝、こうやって坂田さん三兄弟は登校してくる。
いっそ手を放してあげたほうが優しさなのではないかと思ってしまう。

「だ、だいたいっ、二人がちゃんと、朝、起きて、くれればっ」
「無理に決まってんだろ!毎朝いってんべや!!」
「そうヨ!朝早起きするくらいなら朝から走るネ!ね、銀ちゃん!!」
「おうともよ!!」
「馬鹿なんじゃないの!?」

こんだけ全力で家から学校まで走って、それでも会話できるのだからやはり新八も只者ではない。
頑張れ新八!ゴールはスグ其処だ!!と銀時が声を張る。
よっしゃー!!と神楽が答えると更にスピードが増した。
うわっ、と驚いた声が思わず口から逃げ出した。
タン!と足が門をこえると、じょじょにスピードが落ちていき、そのままランニング。
はーっ、と清々しく息を吐きながら二人が手を放し、新八が手を両膝につくと予鈴が鳴った。

「おー、結構余裕あったアル」
「やったな神楽。これで朝もう少し怠けても間に合うって分かったな」
「馬鹿なの!?ギリギリだからこれギリギリだから!!チクショー、明日からは絶対置いていってやるぅ!!」
「無理無理。お前その台詞何回目だよ」
「そうアル。新八が私達置いていけるはずないネ」

やけに自信満々な二人に新八はため息をついた。
大体、朝ごはんにお弁当まで作って、二人を起こして、ご飯食べさせてって、お母さんか僕は。
などと思いつつやってしまうのだ。
長年のクセはもはや抜ける気配がない。
そして恐らく、明日だって二人を置いて先に家を出るなんて出来ないのだ。

「こら三兄弟。教室に急げー」
「お、やべ。じゃあまた後でな」
「おうヨ!屋上でナ!」
「うん、昼休みね」

朝も晩も一緒だというのにも飽き足らず、昼まで一緒に過ごしたいらしい。
仲のよい兄弟だ。
お前も大変だな、と声をかけてきた担任に言われ、曖昧な笑顔で返す新八だった。















「新八君!」
「山崎さん?…またなんですか?」
「うん!また!!」

新八は週に何度か助けを求められる。
たいていが兄弟たちのせいだ。
二人を止められるのは新八だけだと信じられている所為である。
はぁ、とため息をついて立ち上がる。

「今日はどこで…」
「二階ロビー!」

バタバタと走って現場へ急ぐ。
すさまじい罵倒の声と物の倒れる音がする。

「お前は一生マヨネーズとでも愛語り合ってろ!瞳孔開きすぎて気持ちワリーんだよ多串ィ!!」
「んだとお前に言われたくねーんだよ天パがっ!糖分高で脳みそ腐って死ね!もう目が死んでんだよ!!」
「おめぇみてーな胃袋ブラックホールの相手してたんじゃ新八がかわいそうですぜ。大人しく俺に譲って死ねよチャイナァ」
「お前みたいなドSに新八はやれないアル!体中穴だらけになって逝けヨサド丸!!」

ぎゃいぎゃいと言い合っているのは、銀時と銀時の同級生土方。
神楽と新八の同級生である沖田だ。
罵声罵倒を繰り広げながら手や足まで出ている。

「お前みたいなマヨラーにっ」
「お前みたいなドSにっ」

「「新八はわたさーん!!」」

はぁ、と新八のため息が広がる。
なんなんだこの喧嘩、と。
土方さんや沖田さんが僕を欲しがるわけないでしょうが、と言わんばかりだ。
分かっていないのは本人だけだ。

「二人とも!もーやめなさい!」
「新八!男には、兄ちゃんには戦わなければならないときがあるんだ!!」
「そーヨ!女にも戦わなきゃいけないときがあるネ!」
「やめろっていってんだろー!晩御飯抜きにするよー!!」
「「はいっ、すいまっせーん!!」」

返事とともに動きを止めた。
倒してしまったものをてきぱきと起こしていく。

「うちの兄と妹がご迷惑おかけしました」
「…いや、相変わらずお前は鶴の一声だな」
「新八ィ、親友の俺に喧嘩うんなって妹に躾しなおすべきですぜェ」
「あはは…」

戻し終わりました新八様!!
と銀時と神楽が敬礼している。
ご苦労様、と新八が笑った。
ふにゃり、と銀時と神楽も笑った。

「じゃーなマヨネーズ。身の程わきまえろこの野郎」
「てめっ」
「私等の仲に入って来ようなんざ五億年早いネ」
「…野郎」
「二人とも!!」
「「すいまっせーん!!」」


END


仲良し坂田さん三兄弟。

10.5/30

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ