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□檻
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家族という檻に閉じ込める。
憧れ・恋情という鎖に絡め取る。
優しさという温かさを利用する。

どこにも行かないように。
だれにも取られないように。
ずっとそばにいるように。






「新八」
「なんですか?」


その笑顔がいつまでも俺に向くように。
その笑顔をいつまでも俺に向けるように。


「好きだよ」


ありったけの優しさをこめて。
ありったけの愛しさをこめて。
そして少しの罪悪感をこめて。


「なんですか、急に」
「愛しいなぁと思って」


恥ずかしそうに頬を染めるお前を抱き締める。
この腕の中に閉じ込めて。
この赤い目で縛り付けて。


「ずっと、ここにいるよな?」
「銀さん?」
「いてくれる、よな?」


お前の優しさを利用する。
優しいお前が俺を捨てたりできないように。
言葉で縛って、閉じ込めていく。


「いますよ、ずっと。まだ僕のこと疑ってるんですか?」
「うんにゃ、信じてるよ」


もしどこかに行こうというのなら、首輪をつけよう。
離れていけないように、鎖でつなごう。
俺が居ないと生きていけないように、俺がすべてを与えよう。

信頼という足枷を。
家族という檻を。


「ずーっと、一緒にいような」
「はい」
「愛してるよ」
「…ぼくも、です」


優しく抱きしめて。
優しくキスをして。
お前が気付く前に鍵をかける。
その小さな鳥かごに、お前を一生捕えておく。
慎重に鍵をかける。
お前がその音に気付かないように。









家族という檻に閉じ込める。
お前の優しさを利用する。
愛情という鍵をかける。

ごめんな、新八。
銀さんそんなに偉い男じゃないんだ。
優しい男でもないんだよ。

ただお前が、ほしいだけなんだよ。

許してね。たった一つまみくらいの、本当にわずかな罪悪感は、持ってるからさ。


END


病み銀のつもりです…。
でも新ちゃんは銀さんの意図に気付いていても良い。

10.6/6

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