・Main(忍卵)・

□あまえたさん
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甘えたいときとは誰にも訪れるものだろうと思う。
この私、鉢屋三郎にだってあるわけだ。
私が甘えたいのも甘えられるのも雷蔵だけなので、もちろん雷蔵に甘えたいわけだ。
部屋で本を読んでいる雷蔵にずりずりと腹ばいで近づく。
くいくい、と服を引っ張る。
んー?ときのない返事をされた。
でも私はめげない。
ぐいぐい、と引っ張る。
どうしたんだい?と本に顔を向けたまま、頭を撫でられた。
あ、ちょっと幸せ。
だがしかし、私はこんなものでは満足しない。

「雷蔵」
「なぁに?」
「らいぞう」
「ん?」

しつこく呼び続ける。
気のない返事ばかりで甘えたい私は少し寂しくなるのだけども。
落ち込みそうになるのだけども。

「…雷蔵」
「…なぁに、三郎」

ぱたん、と本を閉じて、困った顔の雷蔵が私をようやく見てくれた。
しょうがないなぁ、と言わんばかりの顔だ。

「甘えたいのだよ」
「三郎の甘えたさん」

しょうがないね、と優しい手が私の頭を撫でる。
ずりずりと移動して、雷蔵の足の上に頭を落とした。
なでてなでて、と手に頭をぐいぐいと押し付けると、くすくすと笑いながら、それでもなでなでとなでてくれた。
ぎゅっと抱きついて、雷蔵の手の動きを感じて、そっと目を閉じた。



おわり


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