・Main(忍卵)・

□婚約者パロ
1ページ/1ページ

続くような気もするが続かないような気もする←






彼女に初めて会ったのは、まだまだ幼い頃だった。
鉢屋家の三男坊の私は自分で言うのもあれだがその時から天才だった。
素顔など誰にも見せるものかと仮面をかぶって過ごす幼子だった。
いうなれば生意気で妙に人生を達観した子供らしくない子供だった。
自分は一人で生きて一人で死んでいくんだろうとか考えている子供だったのだ。
今の私の周りにそんな餓鬼がいたら引っ叩くと思う。
そんな私は彼女と出会った。
不破家の長女、名を雷蔵。
勇ましい名とは反対にまるで春の陽気なような雰囲気と花のような笑顔をもつ女の子だった。
お前たち二人がよかったら、将来夫婦になってほしいんだ。と私の父と彼女の父が笑った。
父親同士が知り合いで、ちょうどよく同い年の男女の子供。
結婚させようじゃないか!と盛り上がった結果私と雷蔵は知り合った。
二人でお話ししておいで。と私たちを不破家の庭に行かせた。
今思えば幼子二人で何を話せと考えていたのか疑問しか思い浮かばない。
そこで私は彼女にこういったのだ。

『私と夫婦になっても、私はあなたに私の素顔を見せないかもしれません』と。

彼女はきょとりとしていた。

『さぶろうさんはへんそうの名人だとお父様におききしました』

私がこくりと頷くと彼女は嬉しそうに笑う。
ではわたしのおかおをつかってください。と続いた言葉に耳を疑った。
思わず、は?と口から出ていた。

『ずっと仮面ではかなしゅうございます。ですからわたしのおかおをしてください。あ、わたしが男の子であったらというおかおで』
『…どうして、そんな』
『ふうふはおかおが似てくるものだときいたことがあります』

だから、わたしのおかおをつかってください。と彼女はふわりと笑った。





「以上、鉢屋三郎がなぜ不破雷蔵の顔をしているのかでした」

ぺこりと頭を下げるとへぇーとはちが感心した声を出した。
あのくそ生意気だった餓鬼である私とまるでこの世の春のような雷蔵が許婚となり、今はともに忍術学園に来ている。
雷蔵はくのいち教室だからいつも一緒にいられないのは不満だが仕方ない。

「三郎が雷蔵ちゃんに惚れるのは仕方なかったとして、雷蔵ちゃんはお前の何が良かったんだろうな」
「まったくだ」

はちと兵助が不思議そうに首をかしげる。
お前らひどいな。
私の繊細な心が砕ける。

「俺さ、お前らに会ったばかりのころは親が決めた許婚だから嫌々なんだろうって思ってた」
「俺も俺も」

なんだと?
言っては何だが私は学園に入る頃にはすっかり雷蔵に骨抜きだった。
彼女を一生愛そうと心に決めていたし、彼女以上の存在などいないと思っていた。

「そうにらむなって」
「あの頃のお前ってば無愛想だったし」
「あの子だれ?って聞いたら私の許婚だ。って笑いもせず愛想もなく答えたからねぇ」

勘右衛門まで混ざってきた。
雷ちゃんかわいいのにかわいそう〜って思ったもんだよ!と元気にはきはき言いおって…!!
まぁでもすぐ間違ってたの俺らだって気づいたけどな。とはちが笑う。
こくこくと兵助が頷いた。

「『三郎さん!』って顔を出す雷蔵がすんげぇ笑顔だったんだよな」
「おまけに三郎のでれっとした顔だったしねぇ」






(。・ ω<)ゞてへぺろ♡

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ