短いお話。

□気付けば
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ふと思うと俺はいつも岩沢の隣にいた。
人と絡むのはあまり好きではなかったのに、岩沢の隣にいると楽しい。
音楽だって勿論、愚痴なんかでも盛り上がってしまう。
いつからだろう、気付けば俺は岩沢に惹かれていった。
いつもどうり練習が終わった後にポロッと好きだと言ってみると、岩沢もすんな
りと
「案外、私も好きだよ」
なんて言ってきたもんだから、逆に俺がびっくりしてしまった。
だけど、両思いだからと言って俺と岩沢の関係は対して変わらなかった。
進展と言えば手を繋いで、軽いキスを一回した位。
皆にはガルデモのモラルの事もあり、秘密にしていた。
音無に手繋いでるとこ見られた時はかなり焦ったけど、音無は秘密にしてくれる
みたいで助かった。
てか、なんで俺成仏しなかったんだろうと思った。
岩沢は俺の事そこまで好きでもなかったのだろうか。
まぁ、俺もやることがあるから死んでも成仏出来ないんだけど。
…って、もう俺死んでるんだよ。
そして昨日、岩沢達は陽動するためにライブを開いた。
今思えば、俺ゆりに頼んでライブの方に回して貰えばよかった。
…まさか岩沢があのライブで成仏すると思ってもなかったし。
岩沢はどんな思いで成仏したんだろ。
結局岩沢は俺の事本当に好きだったんだろうか。
でもキスしたって事は、期待してもいいのだろうか。
岩沢は、ちゃんと人並みの幸せをここで手に入れる事が出来たのだろうか。
もう一度会えるのならばあの楽しかった日々を一時間でもいいから一緒に過ごし
たい。

過ぎた事を思い返しても仕方が無い。
俺は自分の目的を果たす為、今日も前線に出る。


気付けば
(俺の隣に君はいない)
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