企画小説
□絆の在り処
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※女体化&無理矢理系の性描写がありますので、18歳未満の方、苦手な方はご遠慮下さい。
ヨハンが途中で帰ってなくて、留学しっぱなしの設定になってます!
十代のことが大切だった。
言葉で表せないくらい、大切で。
異世界での戦いを終えて、帰還した彼が以前と違う雰囲気を纏い始めても、ヨハンの想いは変わらなかった。
人を避けるようになっていた十代も、ヨハンに対する態度だけは変わらなかった。
何度か他の友人達との仲を取り持とうとしたヨハンだったが、十代はそれを頑なに拒む。
そんな彼に困りつつも、ヨハンは十代の傍を離れようとしなかった。
時折レッド寮を訪れ、他愛も無い話をし、笑い合って過ごす。
初めて出会った頃と変わらない日常を過ごせて、ヨハンは幸せを感じていた。
だがヨハンの幸せは、やがて千々に裂かれることになった――他ならぬ十代の手によって。
「十代…。」
ヨハンは十代の部屋の扉の前で立ち尽くした。
禍々しい光を放つ瞳、大きな鉤爪のついた片腕。
薄暗い部屋の中で蹲る十代。
鉤爪の付いた手がヨハンに向けて伸ばされる。
――少し冷静になれば、その時の十代が酷く動揺していたことに気付けたはずだった。
しかしその時のヨハンの脳内を占めていたのは言い様のない恐怖だった。
じりじりと近付いてくる十代から後ずさることしかできない。
床に座りこんだヨハンを見下ろして、十代は手を下した。
「やっぱり…そう、なるよな。」
拳を作って俯いた十代の姿を見て、ヨハンの中で罪悪感が渦巻いた。
「あ…。」
なんとか立ち上がって、ヨハンは十代に近付いた。
俯いてしまった頬に触れようとした瞬間。
鉤爪がヨハンの腕に食い込んだ。
「い…!?」
痛みに呻くと同時に部屋の中に引きずり込まれる。
ばたんと空しい音を立てて扉が閉まった。
やがて小さな部屋の中で痛々しい悲鳴が響き渡った。
授業の終了を告げる鐘。
周囲でがたがたと片付ける音が聞こえてきて、ヨハンはようやく我に返った。
気遣わしげに声をかけてきた明日香とニ、三言の会話を交わして、筆記用具をまとめると、とぼとぼと帰路に着く。
向かった先はレッド寮ではなく、本来彼女の所属しているブルー寮だった。