斉藤君と幸人さん
□第十四話 前日
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ことの発端は今朝の電話だった。
「誕生日…ですか?」
『そう』
「でも、さ、斉藤くん、何にも、言って、なかった…」
『忘れてんだろ?』
「でも、誕生日って、その、あんまり、忘れない、」
『アイツはそーゆーやつ』
「はあ…」
『つーわけで俺んち来いよ。大紀仕事だろ?』
「え、あの、でも…」
『来いよ?』
「い、家、わ、わわ分かんないし、えっと、」
『じゃあ迎えに行ってやる。安心しろ』
「そ、そうじゃなくて、」
『さっさと用意しとけよ、じゃあな』
或る誕生日の事【前日】