斉藤君と幸人さん

□第十話
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「誉(ほまれ)ー来たー」

「チャイム鳴らせよ迷惑だろが」

「ごめんおじゃまします」


従兄弟の誉は大学も同じ(学部は違うけど)年も同じ。

母親が姉妹だから仲もいい。


「相変わらず色んな物あるね」

「多趣味なだけ」

「片付けてないんじゃなくて」

「うるせ」


誉は口が悪いけど本当は優しい。

現に、こうやって僕の相談を聞いてくれている。


「で、今日は何」

「幸人さんに、好きって言われた」

「はあ」

「でも、セックスまでは出来なくて」

「拒否された?」

「ううん。手は出してない」

「じゃあ出してみれば」

「幸人さんの事だから過呼吸起こしちゃうよ」

「じゃあどうするんだよ」


本当にどうしよう。

キスまでは出来た。

幸人さんの唇は、柔らかくて熱くて少し震えていて気持ちよかった。

熱っぽい視線が心地よかった。

体もあんな風なのだろうかと思うといてもたってもいられなくなる。

過去に女性にこんな気持ちを持ったことがあるだろうか。

僕は幸人さんに恋をしているんだと、思った。


「…幸人さんがどう思ってるか、聞いてみてくれないかな。今日はそれも兼ねて来たんだけど」

「…過呼吸起こさねえだろうな」

「家の中だし…変に捲し立てたり大声出さなきゃ大丈夫だと思う」

「じゃあ行く。興味あるし」


僕は、誉を連れて家に帰った。
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