斉藤君と幸人さん
□第十三話
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朝日が眩しい。
朦朧とする意識の中で、今日は仕事が休みだとか今何時だろうとかどうでもいいことばかり考えていた。
「…幸人さん、」
隣で静かに寝息を立てているのを確認してほっとする。
昨夜、とうとう彼に手を出してしまったから。
お互い了承したうえでの行為だったのだけどやっぱり少し早かったかも、と思った。
「(…たくさん、泣かせちゃったな、)」
まだ睫毛が濡れている。
目元が赤い。
「(優しくしたかったのに、)」
後から後から溢れるのは後悔ばかりで申し訳なかった。
それでも幸人さんは好きだと言ってくれた。
嬉しかった。
「(…けど、)」
いつまで続くだろう。
きっといつか彼を傷つけてしまうかもしれない。
彼に、してはいけない過ちを犯してしまうかもしれない。
「(その時は…その時だ)」
彼が望むなら僕は彼を籠から出してあげよう。
彼が望むなら僕は彼を縛るものを全てほどこう。
けどそれまでは、何があっても離したくない。
「好きだよ、幸人…」