斉藤君と幸人さん

□第十四話 前日
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結局連れられ上杉邸—


「これ、なんですか…?」

「何って、アイツが喜びそうなもの」


幸人は自分の目がおかしくなったのかと思った。

今目の前にあるのはどうみても服のたくさんかかったクローゼットだった。


「えっと…」

「これ着てみろ」

「え、えええ…」


幸人に手渡されたのは山から出された可愛らしい制服。


「…これ、」

「アイツの高校の制服」

「え、」

「作ったのは俺だけど」

「え、」

「ほら早く着やがれ」

「は、はい…」


何故だろう。

何故斉藤くんの誕生日のことで呼ばれたのに自分は上杉くんお手製の制服を着てるんだろう。


「お前似合うな」

「う、嬉しくない…れす」


スカートから伸びる黒タイツに覆われた足、セーラーのようでセーラーではない服に身を包まれた幸人は女子には見えないものの似合っていた。

見ようと思えば髪型がショートの貧乳の子に見えなくもない。


「変じゃないから笑うに笑えない」

「ううう…」


恥ずかしすぎる。

羞恥プレイだ…


「他着る必要ねえなあ。送ってってやるよ」

「へ…?」

「俺から大紀に最高の誕生日プレゼントだ」

「…自分?」

「あたり。可愛いリボンでラッピングしてやるから」

「嬉しくない…」


結局その後車に乗せられ制服のまま帰宅、くるくるとリボンを巻かれ首でキチンと蝶々結びされた。

誉はにっこり人の良さそうな顔をすると幸人の頭を撫でた。

それだけで蕩けた思考になり誉を許してしまうのだった。



「(でも…恥ずかしい)」









大紀帰宅まで後数時間—
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