木ノ葉に咲く花

□第一話 遠い日の誓い
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 一一火の国。
 気候風土共に恵まれ、多くの人口を抱えるこの国に木ノ葉隠れの里はある。
 隠れ里とはその名の通り他者の侵入を拒む秘境に存在する、云わば砦だ。

 木ノ葉隠れの里も、四方を切り立った崖と樹海に囲まれている為、近づいてみない限りそこに集落があるとは誰も思わないだろう。
 しかし隠れ里の中では珍しく開かれた方で、一歩足を踏み入れてみれば忍から観光客まで入り乱れての賑わいを見せている。

 特徴的なのは、里を一望できる垂直に近い断崖に彫刻された、木ノ葉隠れの里を代々守り導いた里長“火影”達の顔だ。
 どれも威厳に満ちているけれど、里を見守るその眼差しには慈愛があるような気さえする。

 そんな顔岩の真下に、忍のタマゴ達が通う学舎があった。
 忍者学校(アカデミー)と呼ばれるこの巨大な施設は学校としてだけではなく、軍事・内政両面の中枢を担う重要拠点の顔を併せ持つ為に、大人の出入りもそう珍しい事ではない。

「…なあ、聞いたか?」
「何をだよ」
「俺達の部所に配属されるかもしれない中忍」

 人気の無い廊下を歩いていた男の一人がふと思い出したように、隣を行く相棒に言った。

「あ、知ってる知ってる!アカデミーを飛び級しまくって、たった二年で卒業したヤツだろ?」
「ああ。しかも若干十歳で中忍に昇格。今じゃ上忍見習いだってよ」
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