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□悪ノ双子
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ここは黄の国。
その日はなんだか、
皆慌ただしくて
そわそわしていた。
教会の鐘突きは
言われた通りに鐘を
リボンと花で飾り付け、
合図を待っていた。


「お生まれになりました!」

一人の女が鐘突堂まで
かけ上がってきて
大声で叫んだのを合図に
鐘突きは大きく、
何度も鐘を鳴らした。

城のなかでは、メイド達が
くるくる忙しそうに
赤ん坊のシーツやらタオルやら
持ってきては取り替えていた。


黄の女王は元々病弱な
体をしていて、
子どもを生んだ負担に
体がついていけず、
その日の内に死んだ。
ただ、王室には彼女の
双子だけが残り、
黄の国王は他国に
訪問するのが忙しくて
なかなか国にいなかった。


そして5年の歳月が流れた…
「レン!レンはどこぉ…」
「どうかなさいましたか姫」
「カミィ」
この紫色の髪の騎士こそ
のちの革命を引き起こす
重要な引き金の男だ。
「レンと、城の中で
かくれんぼをしていたの」
「王子はいたずら好きですねぇ。
姫はどこです」
「なんだ、バレてたの」
「つまんないわね」
何処からかレンの服を着た
リンが出てきて、
「あんたもう少し
可愛い声出せないのっ。
声が可愛くないから
バレたんだわ」
とレンを指差し叱った。
「次はうまくやるさ」
「やれやれ、お二人共、
大臣からちょっと
お話があります」
「ええーつまんない」
「はーい」


ここから、僕らの
運命はゆっくり狂い出した。


「え?じゃあもう、
リンとは一緒にいられないの?」
「そういう事です」
リンはとっくに難しい話に飽きて
居眠りしていたようだ。
話の内容は、
将来この国を担うのは
王女なのか王子なのか
という混乱が渦巻き、
既に王室の中でもそれは
起こっていて、
僕らはその中心にいるという事。

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