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「や…っまだ触っちゃ…」
達したばかりの敏感な部分を指先で撫でられて、ルルーシュは身体を震わせた。
「どうして?」
スザクが指先を少しずつ埋めていくと、ルルーシュの中は、スザクの指にきつく絡みついて中へ誘い込むような動きをする。
「ここはほら、こんなに素直なのに…」
「や…やだぁ…」
少しの物足りなさに、ルルーシュはスザクの指をぎゅうぎゅうと締め付ける。
「すごいねルルーシュ…そんなに欲しい?」
「や…あ…ぁ…」
ルルーシュの目に涙が浮かぶ。
スザクはぐるりと指を掻き回した。
「あ…っだ…めっんんんっ…!!」
再び高い声を上げて、ルルーシュは今まで以上に身体を絞った。
「あれ…ルルーシュまたイった?」
流石にスザクも呆気に取られている。
普段と比べても、格段に達する迄の時間が短い。
「ルルーシュって、こんなにローションプレイ好きだったんだ…」
しみじみとスザクは呟くが、ぼうっとして荒い呼吸を繰り返すルルーシュの耳には届いていないようである。
「ルルーシュ、…そろそろ挿入れてもいい?」
ルルーシュはとろんとした目で、小さく頷いた。
スザクは袋を開けると、手際よく自身にゴムを被せる。
そのままルルーシュの入り口をなぞり、少しだけ喰い込ませると、くちゅ、と淫らな音がした。
「や…ん…っ」
ルルーシュは口元で指を握って、焦がれた快感に耐える。
スザクはそんなルルーシュを見ながら、わざと音が出るように中で動いた。
「…ルルーシュの中、すごくいやらしい音がしてる。こんなにとろとろにして…」
恥ずかしくなるような音がバスルーム中に響いている。
「ち…が…ぁ…っ」
ルルーシュは頬を染めて、違うと、こんなに濡れているのは自分ではなくてスザクの垂らしたローションのせいだと否定したいのだが、身体中を巡る甘い痺れに、伝えたい言葉さえ最後迄言えない。
「違わないよ。ルルーシュここ、先っぽでこうやってぐりぐりされるの好きだろ?」
「や…っやぁん…っん…だめ…それだめぇ…っ」
スザクは、快楽にガクガク震えるルルーシュが達してしまわないよう気を付けながら、羞恥を煽るような言葉を浴びせ、浅い部分でルルーシュの好きなところを刺激する。
「だめ?じゃあ奧ならいいの?」
スザクは一気に全てをルルーシュに収めた。
「ひ…ひああぁっ」
「すごい…簡単に入っちゃったね」
ルルーシュはスザクの首に倒れ込むようにして抱き付いた。
「ぁっ…や…っすざ…っおっき…ぃ…」
下をびくびくと締め付けられながら耳元で告げられて、スザクはぶるりと身体を震わせた。
「…当たり前だよ、君のそんな姿ずっと見せられて…」
スザクは根本迄しっかりと入れて、焦れったく腰を送る。
「ぁっ…ぁっスザク…深…ぃっ」
ルルーシュは堪らずスザクの肩に爪を喰い込ませる。
スザクは軽い痛みを感じながらも微笑んだ。
本人は気付いていないのだろうが、快感に堪らなくなった時にスザクの背中に爪を立てるのは、ルルーシュの癖である。
そうされる事で、ルルーシュがちゃんと気持ち良いのを確認出来るのは嬉しい。(見るだけで充分判らないでも無いが)
それに、ルルーシュの癖は、スザクの身体の決まった場所に消えない跡を薄く残し始めた。
自分は独占欲を具現化するようにルルーシュにキスマークを沢山残すが、自分にもルルーシュの物であるという何かを残して貰えるという事は、思い掛け無く嬉しい事だった。
「…ルルーシュ…愛してる…」
「スザ…っ…ぁっ…ぁん…っ」
スザクは再びルルーシュの目を見つめて囁く。
「……愛してる…」
「スザク……っ」
ルルーシュは頬を紅潮させたまま、目尻に涙を溜めて、幸せそうに微笑んだ。
それが余りにも愛しくて、スザクは眩しそうに一瞬目を細めると、ルルーシュをぎゅっと抱き締めた。
「ルルーシュ…っ」
半分程抜いてから、再び奧迄挿し込む。
「んん…っ」
スザクは律動を始めた。
「ぁっ…あっ…ふ…ぁあ…っ」
徐々に勢いを増していくと、ぱちゅんと大きな音がし始めた。
「すざ…スザク…っスザク……っ」
「ルルーシュ…」
足の先まで痺れが走り、ルルーシュは堪らず、夢中でスザクの名前を何度も呼んだ。
「ルルーシュ…とろけそうな顔してる…」
スザクはルルーシュの中を擦りながら、見惚れていた自分に気付いて、苦笑した。
「ん…スザク…も…とろけちゃ…」
スザクは一瞬真顔で赤面する。
「何で…君って…」
スザクは自然と動きを一層激しくする。
「ぇ…?」
ルルーシュが不安そうな表情をすると、スザクはすぐに抱き締めて、涙の溜まる目尻にキスを落とす。
「可愛い…。…君がすごく可愛いって言ったんだ」
「ぁっ…ぁん…っ!」
ルルーシュはスザクの動きに合わせて高く甘い声を漏らす。
「…君にはほんと、かなわないよ…」
「ん…っんぁ…っすざ…っ」
「…ねぇルルーシュ……どこにも、行かないでね?…ずっと、俺の側にいてよ」
ルルーシュが自分の元を去る事等、考えるだけで耐えられない。
「ふ……ふぁあ…っす、ざ…く…っ」
「…ごめんルルーシュ…、……君が嫌って言っても、君の事、離してあげられそうにないよ…」
ルルーシュは一瞬、泣きそうになる程、幸せに心臓が締め付けられるような感覚を覚える。
堪えたつもりだったが、ずっと溜まっていた涙の粒が瞳から零れ落ちた。
「…スザク…、………すき…っ」
長閑で心地の好い、ある昼下がり。
「なに?ルルーシュ」
煎れてもらったコーヒーをのんびりとすする自分を、ソファーの上でクッションを抱えたままじっと見つめてくるルルーシュに気付いて、スザクは柔らかく笑い掛けた。
…可愛いな。
「………」
「…ルルーシュ?」
何も言わずじっとこちらを見つめるルルーシュを心配して、スザクは傍へ行った。
「…スザクは…私の事、好き?」
「え?」
そんな分かり切った事を訊かれるとは思わず、スザクは呆気に取られた。
…もしかして、伝わってないのか…!?
スザクは違う意味で焦った。
「…私の……む、胸…だけじゃなくて…」
…あぁ、そういう事か。
「ばかだな、ルルーシュ…」
スザクはルルーシュの隣にどっさりと腰掛ける。
これだけスタイルが良いと、何か他人には計り知れない悩みを抱えているのかも知れない。
「僕は君の事、すごくすごく愛してるよ?…胸だけな訳無いだろ?」
スザクはルルーシュの瞳を真っ直ぐ見て告げる。
しかし、ルルーシュも目を逸らさなかった。
「…でも、私の…、触ってる時、すごい楽しそう…。それに…ブラ…」
最近ではノーブラに慣れて、寧ろ楽だと感じ始めた事はこの際伏せておく。
事実を指摘され、スザクは一瞬うっ、と詰まった。
「…そりゃぁ、確かに胸だって好きだけど…」
…とても魅力的ですから…。
思い当たる節があるせいか、罪悪感でじっと見つめてくるルルーシュの顔がまともに見れなくなる。
「………あっ!」
スザクは突然閃いてルルーシュに嬉々として向き直った。
「じゃあルルーシュ、今度おっぱいには触らずにセックスしてみようか!」
「へ…?」
まさかそう来るとは思わず、ルルーシュはぽかんとする。
スザクが胸に触らない…?
そんな…
そんなのは…っ
「ね?そうしたら分かるだろ?」
ルルーシュは真っ赤になった顔をクッションにばふっと押し当てた。
…スザクが触ってくれないなんてそんなの、もどかしくてぜったいぜったい我慢出来ない…っ!
「ルルーシュー?」
再び何も喋らなくなったルルーシュの耳が染まっているのを見つけてスザクは唇を落とす。
「…それにしても可愛いなぁ、ルルーシュは」
スザクは上機嫌で、クッションを抱えたルルーシュを抱き締める。
スザクから、ふわりとコーヒーの香りが感じられた。
「僕に愛されてないか不安になったの?ルルーシュ」
「………っ」
スザクは耳元で甘く囁く。
「君が不安ならそんな事、分かるまで答えてあげるし、好きなだけキスしてあげるよ」
「……っ」
ルルーシュは胸がドキンと高鳴るのを感じた。
「…ねぇ、僕の気持ちそんなに伝わってなかった?足りないんだったら、幾らでも愛してあげるよ?胸に触らなくたって。…今からでもね」
ルルーシュはもう諦めが着いていた。
スザクがこう言って、次にどうなるかは決まっている。
そして、既に持て余し始めている胸の甘い疼きを、自分はやはり我慢が出来なくなって『お願い』を口にし、スザクを大いに喜ばせてしまう事も。