♪いろいろ企画箱♪

□(旧)マルコ祭2:未知との遭遇
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クリエルは海面に顔を出すとすぐに、へりまで降りてきていた見張り番にロープを投げるよう指示し、マルコを肩に担ぎ上げると高くそびえる船を慎重に、尚且つ機敏にあがっていった。
登りながら、クリエルは日頃の鍛練と、昔、兵士として正規の訓練を受けた事が役立ったと頭の片隅で満足感に浸りつつ、肩から伝わるマルコの体温の高さに驚きを覚えた。

そもそもクリエルはスキンシップを好む方ではないし(親友のラクヨウなどは構わず絡んで来るが、来られる分には一向に構わない)乗っている船が違うため、接する機会自体少ないから普段のマルコの体温なんか全く知らないのだが、何もないところでいきなり海に落ちるなんて体調不良以外の何物でもない。
ジョズやビスタには及ばないとはいえ、クリエルはマルコとは付き合いが長い方だが、彼の見てきた限り、マルコは不死鳥の名に相応しく、気高く頑丈な男だ。こんなに弱っている姿を見るのは初めてで・・・
クリエルは、“不謹慎な奴だなぁ俺は”と思いながらも、知らない一面が見れた事を密かに喜んだのだった。



甲板に到着するとすぐ見張り番が駆け寄って来た。
「クリエル隊長、大丈夫すか!マルコ隊長に何が・・・」
すぐ引き揚げられたおかげで、あまり水を飲まずに済んだのだろう。マルコは不規則ながらも自力で呼吸が出来ていた。クリエルはマルコの無事を確認すると、半パニック状態になっている隊員の肩に、落ち着かせるように手をかけ、ゆっくりと言い聞かせるように命令を出した。
「大した事は無い。ただの事故だ。お前は今からすぐに医者を叩き起こせ。いいか?静かにだ。騒ぎ立てるなよ。その後、これが重要だ。まわりを起こさないように注意しながら、俺の予備の眼鏡を取ってきてくれ。その後は見張りの仕事に戻れ。俺のクリアな視界が確保出来たら、マルコを医務室に運ぶ。分かったな?」
「は・・・はいっ!すぐにっ!」
理解出来たのか出来てないのか、慌てたように走り出した船員に、クリエルは釘を刺すように、
「静かにだぞ!」
と鋭い眼光を向けながら押し殺した声で叫び、水が滴る短髪を絞るように強めにかきあげた。

そう、飛び込んだ衝撃で帽子と眼鏡は行方不明になってしまったのだ。当たり前だが、暗くボヤける視界では見つける事も出来ず・・・。まあ、予備の眼鏡と帽子は数個常備しているので1つ無くなっても大した問題では無いのだが。
隊員が姿を消した扉へ帰りを待つように眺めていると、足元から名前を呼ぶ小さな声が聞こえてきた。
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