管理人の献上箱

□(旧)日誌D:夢叶えるは青い鳥
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エドワードは隣町まで出向き、町境で暇そうに座り込んでいる男に話しかけた。
「この町で不死鳥の子供がいるって聞いたんだが本当なのか?」
男は退屈しのぎが現れたとでも思ったのか、べらべらと喋り出した。
「なんだお前、知らねぇのか?噂になって1ヶ月は経つ。もう島中全員知ってると思ってたぜ!お前新参者だろ。ガキが不死鳥になるのを俺はこの目でしっかり見たんだ!仲間と手当たり次第路上にたむろしてるガキ共を撃ちまくってたらよぉ、そのうちの一人がいきなり青い炎に包まれて鳥の姿になったんだ。そんときゃ飛んで逃げられちまったが、この町から逃がさねえようにこうやって見張ってんのさ」
「飛んで逃げられちまうんじゃねえのか?」
エドワードの問いに男はニヤリと笑みを浮かべ、手にしていた銃をちらつかせた。
「現れたらこの捕獲網で地面に叩き落としてやるまでさ」
男の言葉にエドワードは嫌悪を覚えつつ、気にかかった事を口にした。
「そうか。で、捕まえたらどうすんだ?オウムみてぇに船にでも乗せるのか?」
「まさか。人売りの奴らに売るのさ。オークションに出せば絶対高値がつく代物だ!絶対大金が手に入るぜ!」
「人を買う奴らなんて下衆野郎ばかりじゃねえか。子供をそんな所にやるとは・・・なんとも思わねえのか、お前?」
エドワードの言葉に男は馬鹿にしたような笑い声をあげ言葉を返した。
「何言ってんだお前!見ず知らずのガキがどうなろうが知った事かよ!金が手に入ればそれでいいんだよ!世の中金だろうが。なんなんだ、お前?」
男の不愉快な言葉と態度に怒りを覚え、エドワードは男を冷たい目で見下ろし、
「俺を知らねえのか?なら、今日!しっかり覚えやがれ!俺ァ“白ひげ”だ!」
と言い捨てて町の中へと歩き出した。
男の顔面がみるみる青ざめていくのを背中で見送りながら。


広い町で小さな子供1人見付けるのは骨が折れると思っていたのだが、それは思い過ごしで町では派手に大物捕りが行われていた。そして、沢山の男達が一ヶ所に集まっていくのを見かけ、後ろからついていくと、そこには様々な武器や網を手にした男達に囲まれた少年の姿があった。
男達にはただの怯える子供に映っているだろうが、エドワードには、少年が今感じているであろう、様々な感情の波を乗り越える強さを持っている事、また、リーダーとしての素質を兼ね備えている事が手に取るように分かった。まさに、磨けば光る原石である。
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