管理人の献上箱

□(旧)日誌I:ベルガモットは危険な香り
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羽をのばすべく占領地に上陸した白ひげ一家は、各々自由に街へ繰り出していた。

クリエルはお決まりの武器屋巡りを堪能し気分よく宿に向かっていたのだが、曲がり角を過ぎた瞬間、ラクヨウとビスタの姿が目に入り、もの珍しい光景に首を傾げた。

立ち止まってしばらく様子を見ていると、ビスタは手にしていた紙袋をラクヨウに押し付けて去っていき、ラクヨウは何やらその場で立ち尽くしていて、クリエルは近づきながら声をかけた。
「よぉ、楽しんでるか?」
振り返ったラクヨウはクリエルの顔を見るや、ものすごい剣幕で、
「楽しんでるかだと?俺の両手に美女がいるように見えるか!こんなはずじゃなかったんだ今頃は・・・」
と叫び、感極まったらしく、黙ってがっくりと肩を落とした。
街中で女を捕まえるつもりが相手にされず、とぼとぼ歩いているところをビスタに出会いアドバイスをもらった、といったところであろう。クリエルは溜め息混じりに心無い言葉を(当人に自覚はない)吐き捨てた。
「予想の範囲内だ。女は綺麗好きだからな。お前は口が臭いうえに髪が汚いし爪も汚い。清潔感が微塵も感じられないんだ、仕方ない」
「ひでぇ言い草だなぁヲイ!ビスタを見倣え!」
ラクヨウは歯をむき出しにしつつ抗議したが、クリエルは完全無視で先を続け、
「で、そのビスタに何もらったんだよ?」
と紙袋を覗き込んだ。
中身は大きな箱が一つ。ぱっと見ただけでは中身は不明である。
ラクヨウは目の前まで持ち上げブラブラさせながら肩をすくめた。
「さぁな。ビスタに嘆いたら“自分用に買ったがお前にやろう。これで明日は楽しく過ごせるはずだ”とか言ってコイツを渡されたんだ」
「へぇ〜。気になるな」
興味津々な様子の相棒を横目でみたラクヨウはニヤリと笑い、最高の思い付きを楽しげに持ちかけた。
「そうだ!お前の宿で開けてみようぜ。俺泊まるとこ無くて困ってんだ。半額出すから泊めてくれよ。な、いいだろ?」
その言葉にクリエルは渋い顔になり、少し考えるように空に眼をやってから、じろりとガンをたれつつため息混じりに答えた。
「別に構わねえがベッドは一個しかないからな。お前は床で寝ろよ?」
「俺はどこでだって寝れる男だぜ!ヒヒッ恩に着るぜ相棒」
満面の笑みをたたえる友の顔を、クリエルは怪しむように見てからついて来いと手で合図し、宿に足を向けたのだった。
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